公益法人の財務3基準-公益目的事業費率

 公益法人は、公益認定時および認定後も「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(以下、認定法)第五条に定める18の認定基準を満たさなければなりません。
 これらの認定基準のうち、多くの法人で会計処理や内部統制に関する大きな事務負担となっているのが財務3基準と呼ばれる収支相償遊休財産額公益目的事業比率の3つの基準です。
 今回は財務3基準のうち、公益目的事業費率についてご紹介します。

1.公益目的事業費率とは

 公益法人は公益目的事業を行うことを主たる目的とするものである(認定法5条1項)ため、活動全体における公益目的事業活動の割合(公益目的事業費率)が50%以上であることが求められます(認定法第5条8項、15条)。
 公益目的事業比率は以下のように算定します(認定法15条)。

2.公益目的事業費率が未達となる要因と対策

 公益目的事業比率が毎期50%未満となっている法人については、事業構造そのものに問題があり、収益事業等の廃止や縮小、事業譲渡をする以外に根本的な解決法はないと思われます。
 これに対して公益目的事業比率が一時的に未達となる法人については、会計上や運営上の工夫である程度の対策が講じられます。
想定される要因とその対策としては次のようなものが考えられます。

(1)公益目的事業の休止や規模が縮小した場合
 事業遂行に不可欠な設備や人材を確保できないこと等により、一時的に公益目的事業の休止や規模が縮小することにより、公益目的事業比率が未達となることが想定されます。
 この場合の対策としては、公益目的事業に属する特定費用準備資金を新たに積立てることが考えられます。

(2)収益事業等の規模が拡大した場合
 収益事業等の規模が特別な要因により予想外に拡大することがあり、これにより公益目的事業比率が未達となることがあります。
 このような場合、当該特別要因による部分を経常外増減の部に計上し、公益目的事業比率の計算から非経常的な要因を除外することで、基準適合の可能性が高まると考えられます。

(3)公益目的事業に関する特定費用準備資金の目的外取崩
 特定費用準備資金の目的取崩しを行った場合、目的となる事業の費用と取崩額が相殺されますが、目的外取崩しの場合は控除元となる費用が存在しないため、一時的に公益目的事業に関する費用が縮小します。
 特定費用準備資金の取崩しが行われるのは、正当な理由がなく目的である活動を行わない場合と、正当な理由があるが目的である活動がなくなる場合です。
 そのため、目的外取崩しにより公益目的事業比率が未達とならないように取崩しの時期に十分に注意する必要があります。

(4)公益目的事業に対する共通費の配賦比率が低すぎる場合
 移行認定申請書に記載した公益目的事業に対する共通費用の配賦比率を継続して使用している事などが原因で、現実に比して共通費の配賦比率が不当に低すぎることがあります。
 このような場合、共通費の配賦比率を実情に合うように見直すことで、基準適合の可能性が高まると考えられます。

出典:TKC全国会公益法人経営研究会 財務3基準未達対応レジュメ・テキスト
渋谷事務所 宮内 剛

評価ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。
この記事について評価にご協力ください
  •  参考になった 
  •  わかりにくかった 
  •  全く参考にならなかった 
  •  探していた記事と違った 

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。


関連記事

■宿泊税について

■地方公会計制度の現況

■事業承継税制 ~納税猶予を受けるための手続き~

■平成30年度税制改正 -資産課税編その2-

■贈与の哲学