
免税点の引上げと再発行した受取書 その2
前回に引き続き、印紙税の免税点引上げに伴って考えられる注意点をご紹介いたします。
前回は、印紙税の免税点が3万円未満から5万円未満に引き上げられた際、受取書の「紛失」により、施行日である、平成26年4月1日を跨いで受取書の「発行」と「再発行」を行う場合の注意点についてご紹介いたしました。
このような「紛失」以外のケースで、相手方から受取書の「再発行」を求められることが考えられます。
具体的には、受取書の発行先から「但し書き」について「お品代」から具体的な商品名への修正依頼があった場合、若しくは「宛名」を「上様」から社名等への変更を求められるケースが考えられます。
このような場合、発行側としては、当初発行した領収書を回収後、修正・訂正後の領収書を発行することになるものと考えられますが、このケースでも、施行日平成26年4月1日を跨ぐ可能性があります。
前回ご紹介したように、発行先が「紛失」した為、領収書等を再発行した場合は、再発行した作成日がいつか?という基準で判定することとされています。さて、今回のケース「但し書きの訂正」「宛名の訂正」等で当初発行したものを回収した場合の取り扱いはどのようになるのでしょうか?
結論としては、このような修正・変更をして発行した領収書に適用する免税点も、書面上、平成26年4月1日以降に作成したことが明らかであれば「5万円未満」となります。
因みに、回収した「領収書」について、印紙税の還付を受けることは出来ません。印紙税は、課税文書を「作成した時」に納税義務が成立し、その作成者が納税義務を負うが、「受取書」における「作成した時」は、「相手方に交付した時」とされている為です。(印紙税法基本通達44)。
他にも、「再発行」以外でも、施行日を跨ぐことが考えられます。例えば、平成26年3月31日以前に受領した金銭について、平成26年4月1日以降に領収書を作成するケースですが、このような場合も、書面上、平成26年4月1日以降に作成したことが明確に記されているのであれば、免税点は「5万円未満」となります。
今回ご紹介した種々のケースにおける判断基準は、すべて印紙税課税の基本、即ち課税文書を「作成した時」(受取書については「相手方に交付した時」)がいつか?により判定することに注意が必要となります。
以上2回にわたり、免税点の引上げと再発行した受取書についてご紹介しましたが、何かご不明な点がございましたら、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。
出典:税務通信(No.3299)