
個人に報酬を支払ったら…
「報酬を支払う場合、源泉徴収をするのでしょうか」と経理担当者からよく電話を受けることがあります。
実務的によくある質問から代表的な以下の支払を例としてみました。
① セミナー講師への報酬
② 車代とした交通費相当の支払
③ ホームページ作成報酬
≪源泉徴収義務者として≫
原則として法人や個人事業主は源泉徴収をする義務があります。
ですので、個人に報酬を支払うと100万円以下の場合10.21%(所得税+復興特別所得税)の源泉徴収が必要です。(源泉徴収支払いは所得税法第204条に規定されている支払に限定されており、そのうち源泉徴収しなくても良い支払は、所得税基本通達204-6の表6に記載されております)
代表的な3例の場合は以下のようになります。
①は講演料として源泉徴収対象です。
②の場合は個人に支払うと源泉徴収対象、支払者が直接交通機関等へ支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。(国税庁HPより)
③は注意です、デザインが主体であれば源泉徴収対象ですが、単に作成のみであれば対象となりません。
また、これらの報酬は少額でも源泉徴収対象となります。
徴収しなくて差支えないものは、おおよそ5万円以下の懸賞の賞金やニュース投稿の謝金と限定されています。
上記のような源泉徴収をした場合、給与に対する源泉徴収税額とは別の納付書にて納付します。なお、原稿料や講演料などから源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の額は、支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。
(注) 納期の特例の対象とはなりません。
≪支払調書の作成≫
源泉徴収した報酬はその年分を合計して支払調書を作成する方が多いと思います。果たして本当に必要なものなのでしょうか。
国税庁HPには、報酬の場合、5万円を超えるものを法定調書として税務署に提出することになっております、ですので、5万円以下は作成しなくてよいと言えます。今まで作成していたのは支払者の優しさではないでしょうか。また、税務署提出にはマイナンバー取得が必要となり、事務負担増加の側面も見られます。
提出範囲外の支払調書を作成不要にすれば、マイナンバー取得も不要となります。
最近では事務効率の見直し、人件費・郵送料のコスト削減、システム普及、制度の理解から支払調書を発行しない支払者も増えていますので慣習を変えてみては如何でしょうか。
参考:国税庁HP
源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
原稿料や講演料等を支払ったとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm
報酬・料金等の源泉徴収事務
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2009/data/05/index.htm
横浜青葉事務所 小林 竜雅