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事業体課税の一環としてのパス・スルー課税の現状について

パス・スルー課税とは、法人等の事業体には課税せず、その構成員の所得に対して課税する課税制度をいい、構成員課税ともいわれています。我が国の現行の法人課税では、法人の利益に対して法人税が課せられ、その法人から配当金を受け取った出資者(株主)は、その配当金へも課税されるという二重課税の仕組みになっています。
パス・スルー課税のメリットは、この二重課税の回避にあり、また、法人段階で損失が生じた場合には、その損失は構成員にパス・スルーされ、他の所得と通算できます。

米国では、LLP、LLCといった多様な事業体が創設され、団体法制の柔軟構造化が進み、その制度を有効活用することでベンチャー、スモールビジネス等の起業が行われ、経済活性化の一役を買っています。これらの事業体は、自ら独立した法体制を持ち構成員は有限責任であり、内部の権利関係は契約により定めることが可能で、課税の取扱いは構成員課税となるパス・スルー性を備えています。

多様化しグローバル化する経済の中での租税の国際的調和には、冷静な判断が必要だと考えます。我が国がこれまで法人格があれば、実態は民法上の組合と変わらない場合にも一律に法人課税としている事は、原理的帰結ではなく、各種の事業体を制度としてどのように扱うべきかという政策的判断といえます。

会社法により法人格を持つ合同会社がパス・スルー課税について取り上げられる中、頻繁に構成員の変更がある非公開株式会社(会社法2条5号に定める「公開会社」でない株式会社)について、組織形態の経済的な実態と課税の公平性、徴税コスト及び課税回避の可能性、政策目的などを総合的に判断し、パス・スルー課税導入の是非についての検討は、今後の税制制度改革を踏まえ興味を持つテーマです。

我が国においても、社会経済のグローバル化の中で、国際競争力を維持するためには、先進諸外国の事業形態に倣って、会社法や信託法の改正が行われ、新たな事業体を誕生させ、経済の活性化を図るため、多様化する人々の要求に応える努力はしています。
結果、『有限責任事業組合契約に関する法律』に基づいて平成17年8月1日からの新制度の施行により、パス・スルー性を持つ事業体として、LLP(有限責任事業組合)が設立可能となり、構成員課税のもと着実に利用者が増えている。しかし、組合課税の規定は不十分な面があり、その実態も把握されていないのが現状です。

千葉旭事務所 大木剛仁

 

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