中小企業金融円滑化法の適用について

Ⅰ 中小企業金融円滑化法の概要

 長引く経済金融情勢及び雇用環境の悪化により、中小企業や住宅ローン利用者にとって返済負担が重くのしかかってきており、返済条件の
変更を求める企業や住宅ローン利用者も増加してきています。 

 こうした状況を踏まえ、平成21年12月より「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律
(中小企業金融円滑化法)
」が施行されました。

 この法律の概要は、次の4つの骨子から成り立っています。

1.金融機関に対し、中小企業又は住宅ローンの借り手から申込みがあった場合には、貸付条件の変更等を行うよう努力義務を課す。
2.金融機関自らの取り組みとして、貸付条件変更等の措置を適正かつ円滑に遂行するための体制の整備を義務付ける。
3.行政上の対応として、実施状況を当局へ報告。当局はとりまとめて公表。
4.さらなる支援措置として、信用保証制度の充実等、政府は必要な措置を講じるものとする。

 この法律の適用期間は現在のところ、平成23年3月までとされていますが、6月30日金融庁の発表によれば、この法律が施行されてから
3月31日まで中小企業が金融機関に貸付条件の変更などを申込んだ件数は48万1,367件で、そのうち金融機関が貸付条件の変更などを行った
実行件数は36万8,074件
となり、審査中や申請取り下げを除くと条件変更の拒否は申請全体の1.3%(6,417件)にとどまっています。
このように金融円滑化法の施行は、一時しのぎとの批判的見方もありますが、資金繰りに苦しむ中小企業にとっては大きな助け船となっているようです。

Ⅱ 金融円滑化法を利用するにあたっての注意
 
 金融庁発行のパンフレットには、金融機関からの借入について、「貸付条件の変更等」を受けたい場合どうすればよいかとして、
『まず、利用金融機関に相談し、金融機関と今後の経営改善計画返済計画を検討した上で、その実現に必要な、貸付条件の変更等を行うことと
なります。また、経営改善計画がなくても、1年以内に計画を策定できると見込まれれば、先に貸付条件の変更等を行った上で、金融機関と
一緒に計画の検討を行うこともできます。』と書かれています。

しかし、金融円滑化法は、金融機関はできる限り、条件変更等の措置をとるよう努めることを義務づけていますが、条件変更に応じるか否かは金融機関の
自主的な判断によります。

 したがって金融機関に返済猶予を申し込む際には、中小企業は、できるだけ自力でできるところまで経営改善計画や返済計画を作成し、金融機関から
求められた資料はなるべく早期に提出することが、条件変更手続きを円滑に進める上で実務上重要です。

中小企業の経営者の方が経営改善計画を策定するのに有効なお手伝いをコンパッソ税理士法人では行っています。早めのご相談をお待ちしております。

参考資料:Q&A資金繰り対策と経営改善計画(TKC出版)
     金融庁パンフレット「中小企業の事業主の皆さんへ」
 
金融庁ホームページ URL:http://www.fsa.go.jp/

          

川崎事務所 鈴木 律雄

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