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中小企業のM&A

日本企業の海外企業へ向けたM&Aは、急激に円高が進んだ1980年後半に増加し、2000年前後に再度ブームを迎えました。円安が進んでいる今も、日本企業による海外企業の買収は過去最高のペースで進んでいます。この傾向は、少子高齢化等に端を発する国内需要の低迷が一因とも言われております。
最近までは、中小企業の経営者の皆様と色々とお話をさせて頂く中で「M&A」というワードを思い浮かべる機会は少なかったように思います。しかし、今後は、中小企業にこそ、このM&Aは今後重要なキーワードになるのでは?と思うことが多くあります。

M&Aとは
M&Aとは、英語のMergers and Acquisitions(企業の合併と買収)の略で、具体的には、事業譲渡や株式取得、株式交換、合併、会社分割というようなスキームを用いて、企業や特定の事業の支配権を移転させることをいいます。 生産や研究開発、販売等の各部門を補強するような業務提携も広義のM&Aに含まれます。

M&Aの目的
1.企業や特定の事業を買いたい(買い手)
これから新しく事業を始めるのは大変でも、他の企業や企業が持つ一部の事業を取得することで、経営の多角化、新規事業への進出等、事業を拡大することが可能になります。また、これにより、マーケット・シェアを拡大したり、販路を獲得することもできます。

2.不採算部門を売りたい(売り手)
成長が見込まれず、業績が悪化しているような事業があるような場合には、そのような不採算事業を切り離すことができれば、自らが強みを持つ事業に選択集中できます。

3.企業再生
経営環境はめまぐるしく変化するため、業績が良い時もあれば悪い時もあります。事業そのものは成長していても、売掛金の焦げ付きや運転資金の不足等に阻まれ、倒産の危機に瀕しているような場合には、吸収合併等のM&Aを行うことで企業再生を図ることが可能になります。

4.事業承継
後継者不足等により、事業承継がうまく進まない等の場合にも、前向きに事業を継承してくれるような友好企業がいれば、育てたビジネスや従業員の方を他の方に託すような友好的なM&Aを行うことが可能です。

M&Aのメリットとリスク
1.メリット
ビジネスをゼロから新規に立ち上げるにはとても長い時間がかかります。M&Aによって他社が持っている既存の事業を取得することができれば、めまぐるしく変化する経営環境に対応した経営を行うことが可能です。

2.リスク
企業にはそれぞれ文化があるため、企業合併等で異なる文化を持つ2つ以上の会社が一緒になる場合には、社内の混乱が起こることがあります。また、限られた時間の中で相手方のビジネス環境や組織の内部に存在する問題点を調査して決断しなければならないため、買収時に想定をしていなかったような問題が生じ得ることがあります。

M&Aを行う際には、リスクも考慮に入れなければなりませんが、日々速度を増し、決断に時間をかけることが難しい経営環境の中において、M&Aは有効な手法の一つだと思います。
一つの企業では実現することが難しいことでも、他の企業とのシナジー効果で、1+1が2を超える結果が産み出されることも多くあります。
最近は、日々のお客様の現場で、ビジネスマッチング等の広義のM&Aから、企業合併等の狭義のM&Aを目にすることが徐々に増えてきている気がります。また、M&Aの現場の側面では、税務や会計・労務で検討すべき事項が多々あります。
M&Aでご相談がございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人・コンパッソ社会保険労務士法人にお問い合わせ下さい。

出典:日本公認会計士協会東京会「財務デュー・ディリジェンスと企業価値評価」
    JETRO「ジェトロセンサー 2014年6月号」

渋谷事務所 川上大輔

 

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