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中国の税法について

1.はじめに

 昨年中国が日本を抜いてGDP(国内総生産)が世界2位になったことは記憶に新しいところですが、今後中国と日本のビジネス交流はまだまだ活性化するものと思われます。そして中国に進出する日本企業、日本人にとって中国の税務について関心が高まってきているのも事実です。そこで中国の税法について簡単ではありますがご紹介したいと思います。

2.中国税制の概要

 近年中国の税収の増加は経済発展もあり、著しいものがあります。2000年の税収が1.27兆人民元であったものが、2007年では4.94兆人民元と、この7年間で約3.9倍になっており、2010年ではさらに増加しているものと思われます。この2000年から2007年までの7年間でGDPが2.5倍の増加であったことを考えますと、最近の税収の増加は著しいものといえます。また、中国税制の特色としては、日本に比べ間接税の割合が高いことです。間接税の主な税目としては、日本の消費税にあたる増値税があげられます。その他の特色として、相続遺産税が無いというところです。これは中国の時代的背景、中国人の思想から徴税しないことになっており、日本のような固定資産の登記実務が確立されていないこともその原因となっております。

3.日本と中国との税収の比較

4.増値税について

 日本の消費税にあたる増値税ですが、物の取引を対象とした付加価値税です。また日本の消費税とは異なる部分があり、仕入税額控除の要件として公用インボイス(専用伝票)を用いることや食料品等についての軽減税率を適用するなどの違いがあります。
そして、増値税の特徴については次のような点があります。
 ・累積排除型の多段階課税であること
 ・課税ベースが広いこと
 ・3種類の税率の適用があること
 ・輸出品に係る仕入税額控除の還付計算が特異な方式であること
 ・インボイス(専用伝票)方式であること
 ・小規模納税義務者に対する特別な取り扱いがあること

5.徴税機関について

 中国では1994年以前は基本的には地方政府が税を徴収し、その中から地方政府が中央政府に上納する方式(財政請負制)を採っていましたが、1994年に中央政府の財源の確保や中央政府の財政上の権限の強化を図るため分税制という税制大改革を実施しました。その結果、中央政府の独自財源となる中央税(国税)、地方政府の独自財源となる地方税、中央と地方で財源を分け合う共有税の3つに分けられ、徴収組織も国税組織と地方税組織の2つに分けて徴収実務を分担することになっています。日本では現在、地方分権に向けて議論をし、国から地方へ財源移譲の検討しておりますが、中国では逆で、地方の力が強く、地方から中央へという背景になっております。

6.最後に

 これからは中国の時代になると思いますが、税環境については日本に比べてまだまだ確立されていない部分が多く、税制改正が頻繁にあることや、地方の力が強いために地方独自の改正があることなどで、日本人にとっては戸惑うことが多いと思います。今後中国への進出をお考えの方がいらっしゃると思いますが、中国人の思想、特色などを十分理解をし、行動していただければと思います。

参考文献:伏見俊行・楊華共著「中国税の基礎知識」税務研究会出版局

                              

川崎事務所 鈴木伸明

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