不動産賃貸業における税務上の取扱い

今回は、法人としてマンションやテナントビルを所有している不動産賃貸業の会計処理において注意すべき点についてご紹介します。

まず、賃貸用不動産の用途を理解しておく必要があります。
賃貸用不動産は、大きく分けて住居用不動産とテナントビルなどの事業用不動産に分かれ、一般的な特徴として以下の点が挙げられます。

住居用不動産
1.賃貸収入の大部分に係る消費税が非課税であり、原則として、駐車場収入・水道光熱費収入等が課税となります。
2.敷金には、退去時に返還する部分と返還しない部分(原状回復等のために相殺される部分)があります。

事業用不動産
1.賃貸収入は基本的に消費税の課税取引となります。
2.敷金が高額なケースが多く、期中に退去する際に、一部分のみ返還する契約もあります。退去時には居住用と同様に、原状回復費用等と
  相殺される部分があります。

以上を踏まえて、不動産賃貸業において注意すべき税務上の取り扱いについて、売上となる賃貸収入の計上時期、主な経費となる修繕費及び租税公課について見ていきます。

売上
1.家賃収入・更新料の計上時期
  賃貸収入・駐車場収入・水道光熱費収入・共益費・解約違約金等を売上として計上します。計上時期は、その支払方法に
  ついての契約内容により原則として次のようになります。
   (1)契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
   (2)支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日。ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは
      その請求日

  よく、契約書で「賃料は毎月末日までに、翌月分を支払うこと」と定められていることがあります。
  その場合には、例えば10月分家賃を9月末までに受け取ることになりますが、入居者からの振込みが遅れ、10月3日に入金されたとしても、
  家賃収入として売上計上すべき日は9月末日となり、未収金として計上することになります。

2.敷金・保証金の計上時期
  敷金や保証金は、預りとしての性質を有するため、原則として売上には計上しません
  ただし、返還不要が確定した場合には、その返還不要となった金額を売上として計上することになります。
  また、事業用不動産の契約で「保証金の20%は、契約終了時に償却する」と定められていることがあります。
  この場合には、「保証金の20%は、契約終了時になっても返還しないことが最初から決められている」と捉え、契約時に保証金の20%を
  売上に計上します

修繕費
  不動産賃貸には、当然修理が付き物です。その支出した修理代は修繕費として全額経費とすることができる場合と、減価償却資産とて資産
  計上しなければならない場合があります。この区分は、その修理代が支払われた目的とその金額によって以下の通りに判定します。

  (1)修繕費・・・全額を損金算入できます。
      ・原状回復や維持管理のための費用

  (2)資本的支出・・・支出年度に全額を費用とすることはできず、減価償却の手続きを経て費用にしていくことになります。
      ・使用可能期間の延長や価値を増加させる費用
      ・壊れたものを新しく買い換えるための費用

  (3)少額又は周期の短い費用の損金算入
     税務上、納税者の便宜と重要性の観点から、少額又は周期の短い費用については、特例が設けられています。これは、以下の
     いずれかの点に当てはまる場合には、その全額を修繕費として費用計上できるというものです。
      ・修理・改良のための費用が20万円未満の場合
      ・概ね3年以内の周期で修理・改良が行われている場合

  (4)形式基準による判定
     (1)~(3)の判定で区分できなかったものについて、以下の点のいずれかに当てはまる場合には、その金額を修繕費として費用計上
     することができます。
      ・その金額が60万円未満の場合
      ・その金額が修理・改良等に係る固定資産の前期末における取得価額の概ね10%以下である場合
         ※その他継続適用を要件に一定の処理が認められております。

租税公課
法人が納付する租税公課のうち、以下に掲げるものを除く租税公課は、損金の額に算入されます。また、租税公課の損金算入時期は、税目によって定められていますが、固定資産税のように必ずしも納付した時に損金算入しなくても良い税目があります。

1.損金の額に算入されない主な租税公課
   ・法人税、都道府県民税及び市町村民税の本税
   ・各種加算税及び加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金を除く)並びに過怠税
   ・罰金、科料、過料
   ・法人税額から控除する所得税及び外国法人税

2.固定資産税の損金算入時期
   (1)原則
       固定資産税は、国や地方自治体が納税者に税額を通知することにより課税されます(賦課課税方式)。この方法により課税される
       税金の損金算入時期は、「賦課決定があった日を含む事業年度」です。すなわち、損金算入時期の原則は納税通知書が届いた日
       なります。未払いであっても、1年間分の固定資産税の全額を損金とすることができるため、通常は、この原則による損金算入を選択
       した方が有利になります。

   (2)特例
       固定資産税の損金算入時期の特例として「納付の日を含む事業年度」が認められています。この特例は、利益が大きく出る事業年度を
       予測できる場合には、納付した時に損金計上することで、税務メリットを受けることができます。

上記の内容でご質問やご相談がございましたら、コンパッソ税理士法人までお問合せ下さい。

出典:国税庁HP

渋谷事務所 後藤美香

 

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