不動産所得:未収家賃の貸倒損失について

今回は、私が実際に遭遇した事例についてご紹介したいと思います。

不動産所得があるAさんは、過年度から入居者による家賃の未収が続いてしましたが、未収分についても、家賃収入として毎年申告していました。しかし、平成25年末の未収額は、600万円程になっていました。勿論、そこまでの未収額に至る前に、弁護士を通して諸々の手立てはしていましたが、最終的に退去してもらうことを条件に、未収額の90%である540万を債権放棄することにしました。この回収不能債権は平成22年~平成25年の収入に該当します。

1.Aさんの不動産貸付が事業的規模である場合は、賃料の回収不能による貸倒損失は、回収不能となった年分の必要経費に算入します。ですから、平成26年に債権放棄した場合は、平成26年分の不動産所得の必要経費にできます。

2.Aさんの不動産貸付が事業的規模ではない場合は、収入に計上した年分まで遡って、回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得税の計算をやり直します。

平成23年の税制改正によって、更正の請求が出来る期間は、5年となっており、この改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限がくる国税から対象になっています。 
例えば平成23年分の所得税の確定申告については、法定申告期限は平成24年3月15日なので、平成23年12月2日以後に法定申告期限がくる国税に該当することになります。つまり更正の請求は、平成24年3月16日から平成29年3月15日までできるということになります。

私は当初、現在はAさんの不動産貸付は事業的規模でないので、平成23年分以降は更正の請求をする。平成22年分については、平成26年3月15日で時効となっているため請求出来ないのでは考えました。(平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税で、更正の請求期限が過ぎた課税期間については、所得税の増額更正できる3年内に「更正の申出書」を提出すれば認められる可能性があるが、その期限が平成26年3月15日のため)
しかし、この場合は、「各所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例」が適用されます。よって、当該事実が生じた日(この場合は債権放棄した日)の翌日から2ヶ月以内に更正の請求をすればよいのです。
時効で請求出来ないと思っていたので、少し安心しました。

ところで、Aさん、現在の不動産貸付は事業的規模ではありませんが、平成23年までは、事業的規模でした。さて・・・どのように請求や申告をすれば良いのでしょう?

平成22年と平成23年の不動産貸付は事業的規模だったので上記1が適用され、事実が生じた年の必要経費と出来ます。事業的規模ではなくなった平成24年と平成25年の所得について上記2を適用し、更正の請求をすれば良いのです。

まとめますと、不動産所得の収入の回収不能債権の貸倒損失について
    ア.不動産貸付が事業的規模か否かの判断 → 回収不能の事実が生じた年の現況ではなく、当該収入が生じた年の状況により判断
    イ.事業的規模 → 回収不能の事実が生じた年の必要経費
    ウ.事業的規模ではない → 更正の請求の期限は5年。
但し、 平成23年12月2日以前に申告期限が到来した課税期間に対応する回収不能債権の貸倒は、当該事実が生じた日の翌日から2ヶ月以内が更正の請求の期限となります。(所得税法第51条2項・第64条・第152条)

上記の件につきましてご相談等ございましたら、コンパッソ税理士法人までお問合せ下さい。

川崎事務所 長谷川三千代

 

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