
上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る軽減税率の特例措置廃止について その3
前回に引き続き、上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る軽減税率の特例措置廃止についてご紹介します。
前回は上場株式等の譲渡に係る軽減税率廃止への対策案の続きとして、ブロックトレード、特約権付株券賃借取引についてご紹介します。
<ブロックトレード>
ブロックトレードとは、証券会社を通じて大口の注文を相対で行う取引のことをいう。株式保有者の売却または購入ニーズのある株式に対し、証券会社が相手方となって取引を成立させる手法です。
1.特徴
取引所の流動性の問題から、市場委託注文では一度に売買しにくいような数量でも取引することができます。
2.注意点
取引価額については証券会社が市場環境等を勘案して提示されますが、通常、市場価格から一定のスプレッド(価格差)を加減した価格
での売買となります(スプレッドは銘柄や市場環境により異なります)。
3.約定価格
証券会社が市場環境等を勘案して提示した価格となります。
4.留意事項
市場動向等により、一部のみの取引になる場合やまったく執行できない場合もあります。
<特約権付株券貸借取引>
特約権付株券貸借取引は、株券等の消費貸借取引である「株券等貸借取引」と有価証券店頭オプション取引である「特約権取引」を同一銘柄について同時に行う取引です。
依頼者は、証券会社への株券等の貸出の対価として貸借料を受取り、証券会社への特約権(当該株券等を一定の金額で買取る権利)の付与の対価として特約権料を受取ります。
契約期間終了後、対象銘柄の特約権行使日の終値が特約価格(特約権行使時における対象銘柄の1株(口)あたりの買取価格)を上回った場合に、特約価格での売却(証券会社の買取り)となります。
1.特徴
(1)特約権行使日の終値が、対象銘柄の特約価格を上回った場合には、特約価格で売却できます。
(2)貸借料と特約権料が受け取れます。
(3)特約権行使(所有者の売却)時に委託手数料等のコストは発生しません。
2.注意点
(1)特約権行使となった場合、特約価格が売却価格となるため、特約価格を上回る市場価値については享受できません。
(2)特約権放棄となった場合、対象銘柄の売却ができません。
3.約定価格
特約価格(所有者の売却希望価格)となります。
4.留意事項
(1)株主等としての権利確定日をまたぐ取引を行った場合、株主等の権利は所有者に付与ません。
(配当の一部権利については、その配当金相当額が支払われます。)
(2)所有者から証券会社への株券等の貸出は無担保であるため、所有者にとっては証券会社への信用リスクが発生します。
実際に取引を行う際には、証券会社にお問い合わせいただき、それぞれの説明書等を必ずご確認下さい。税務上の取り扱いにかかるリスク、および経済的合理性に関するリスクには注意が必要です。
上記の内容でご質問やご相談がございましたら、コンパッソ税理士法人までお問合せ下さい。
出典:SMBC日興証券「上場株式等の譲渡に係る軽減税率廃止への対策案」