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一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し

 平成30年税制改正により一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直しがされたことにより、相続税の節税に規制がかかり、節税対策でとりあえず一般社団法人等を設立させればよいというわけにはいかなくなりました。今後もさらに厳しい改正がされることも考えられます。

 

⒈ 改正の背景

 平成20年に一般社団・財団法人と公益法人の明確な分離などを目的とする公益法人制度改革が行われた際、一般社団法人が登記だけで設立できることとなりました。

 しかし、一般社団法人には持分が存在せず、設立の容易さもあり、一族で実質的に支配する一般社団法人に財産を移転させた後、役員の交代による支配権の移転を通じて、子や孫に無税で財産を承継させるケースなどが見受けられるため、改正が行われました。

⒉ 改正の内容

① 一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し

 個人から一般社団法人等に対して財産の贈与等があった場合の贈与税等の課税について、相続税法施行令33条3項により贈与税等の負担が不当に減少する結果とならないものとされる要件のうち、いずれかを満たさない場合には、贈与税等が課税させる規定が明確化されました。

〔相続税法施行令33条3項(要約)〕

 〇 役員等のうち親族等の数がそれぞれの役員等の数のうちに占める割合がいずれも3分の1以下とする旨の定めがあること

 〇 財産を贈与もしくは遺贈した者等又はその親族等に対し、財産の運用や事業運営に関し特別の利益を与えないこと

 〇 法人が解散した場合にその残余財産が国等に帰属する旨の定めがあること

 〇 法律に違反する事実、仮装隠蔽等をしている事実その他公益に反する事実がないこと

② 特定一般社団法人等に対する相続税の課税

 一般社団法人等の理事が死亡した場合、その一般社団法人等が特定一般社団法人等に該当するときは、特定一般社団法人等がその死亡した理事の相続開始の時における特定一般社団法人等の純資産額を、その時の同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額を、死亡した理事から遺贈により取得したとみなして、その特定一般社団法人等に相続税が課されます。またその相続税額から既に課税された贈与税等については控除されます。

⒊ 適用期日

①については、平成30年4月1日以後に贈与または遺贈により取得する財産に係る贈与税または相続税について適用されます。

②については、平成30年4月1日以後の一般社団法人等の理事の死亡に係る相続税について適用されます。ただし、同日前に設立された一般社団法人等は、平成33年4月1日以後の理事の死亡に係る相続税について適用します。

 

渋谷事務所 朝倉 基允

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