リバースチャージ方式

 平成27年4月に消費税法の一部が改正され、いわゆる「リバースチャージ方式」が導入されました。
 その適用開始時期が迫り、今回は国外事業者から役務の提供を受けた、リバースチャージ方式の適用対象となり得る国内事業者の立場から検討してみたいと思います。

リバースチャージ方式とは?
Ⅰ 国外事業者が行う「事業者向け電気通信利用役務の提供」について、当該役務の提供を受けた国内事業者に消費税の申告納税義務を課す方式

Ⅱ 国外事業者が国内において行う「映画若しくは演劇の俳優、音楽家その他の芸能人又は職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業として行う役務の提供のうち、当該国外事業者が他の事業者に対して行うもの」について、当該役務の提供を受けた国内事業者に消費税の申告納税義務を課す方式

適用があるのは?
経過措置により当分の間は、課税売上割合が95%以上の事業者と簡易課税制度により申告する事業者はリバースチャージ方式について考慮する必要はありません。
        ↓
一般課税で申告する課税売上割合が95%未満の事業者についてのみ適用があるということになります。

いつから?
①上記Ⅰのリバースチャージ方式については、平成27年10月1日以後に行う取引から対象となります。
②上記Ⅱのリバースチャージ方式については、平成28年4月1日以後に行う取引から対象となります。

どのような取引が対象?
①上記Ⅰのリバースチャージ方式については、インターネットを介した広告の配信など、主としてインターネット等を通じた役務の提供のうち、その性質又はその取引条件等からその役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものが対象となります。

②上記Ⅱのリバースチャージ方式については、国外事業者である芸能人・俳優・ミュージシャン・スポーツ選手が、日本においてテレビやイベントの出演等をし、国内事業者から対価を得るものが対象となります。

消費税の申告はどうなるの?
一つの取引に課された消費税が、納税と控除の両面で登場することとなります。
具体例で考えてみます。

<具体例>
・国内事業者 A社
・課税売上割合80%(一般課税個別対応方式により申告)
・課税期間:平成27年10月1日~平成28年9月30日
・A社は広告宣伝費としてインターネット広告を下記の様に支出している。
 シンガポール法人のG社に対して、
 A社の製品である掃除機の広告            支払った金額1,000,000円
  A社の会社全体のブランドイメージを高めるための広告 支払った金額1,000,000円
 
《納付すべき消費税額のイメージ》 (説明上、広告宣伝費ごとで計算)
【掃除機の広告】
  課税標準に係る消費税額 ※80,000円
  控除される消費税額    80,000円(いわゆる課税売上のみ対応のため全額控除)
  納付すべき消費税額       0円
 ※支払った金額1,000,000円に消費税額は含まれていないため、1,000,000円に税率を乗じた80,000円が消費税額となります。

 【会社のブランドイメージの広告】
  課税標準に係る消費税額 80,000円
  控除される消費税額   64,000円(いわゆる共通対応のため80%しか控除できない)
  納付すべき消費税額   16,000円

 以上の様に、同じ国外事業者に対するインターネット広告の支払についても、その内容が課税売上のみ対応、非課税売上のみ対応又は共通対応のいずれに該当するかによって納付すべき消費税額に差が出ることとなります。

 今回の消費税法の改正を受けて、国内事業者においてはリバースチャージ方式の対象となる取引がないかどうか、さらには今後予定される取引について対象となるものがないか一度検討してみる必要があるでしょう。また、リバースチャージ方式の適用を受ける国内事業者においては、増加消費税コストの計算やその取引の見直し、リバースチャージに係る税額の集計等のシステム対応も事前に検討する必要があります。
 ご不明な点などございましたらコンパッソ税理士法人までご連絡ください。

                              

渋谷事務所 加藤義隆

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