ゴルフ会員権の取得費に係る取り扱いの変更

平成24年8月23日、国税庁は、ゴルフ会員権の取得費に係る取り扱いを変更することを公表しました。今回は、その概要をご紹介します。

バブル経済の崩壊後、ゴルフ会員権の価格は大幅に下落しました。某有名ゴルフ会員権の価格を例に挙げれば、1990年の4,600万円をピークに、現在は50万円程度の価格水準となっています。このように価格が下落したゴルフ会員権を売却した場合には、多額の譲渡損失が出ます。ゴルフ会員権を譲渡した場合の譲渡所得は総合課税であり、発生した譲渡損失は、給与などの他の所得と損益通算ができますので、ゴルフ会員権の売却による節税行為が一時期流行しました。

従来の取り扱いにおいて、国税局は、ゴルフ会員権は契約上の地位であり、「優先的施設利用権」と「預託金返還請求権」を一体的な資産として取り扱っていました。
仮に預託金が全額カットされた場合、「優先的施設利用権」と「預託金返還請求権」の一体性が崩れることにより旧会員権は消滅し、新しい会員権を再取得したものとして取り扱われました。
その結果、ゴルフ会員権の取得価額は、購入した金額よりも著しく少額の取得費しか認められず、上記の節税効果を十分に享受することができませんでした。平成24年6月27日、東京高裁の判決により、「優先的施設利用権」と「預託金返還請求権」は分離可能と判断され、これまでの取扱いが見直されました。

【預託金が全額カットされた場合の取得費の取り扱いの変更】
例)600万円で取得したゴルフ会員権(優先的施設利用権100万円、預託金返還請求権500万円)について、預託金の全額がカットされ、現在の時価10万円となっているゴルフ会員権の取得価額

1.従来の取り扱い

※優先的施設利用権+預託金返還請求権が崩れたことにより、旧会員権は消滅。新しい会員権を時価で再取得したものと考える。
※ゴルフ会員権の取得価額は10万円取得日も変更になる。

2.今後の取り扱い

※優先的施設利用権と預託金返還請求権は別個の財産。旧会員権は消滅せず、預託金返還請求権部分のみが消滅したものと考える。
※ゴルフ会員権の取得価額は100万円取得日も変わらない

今回のポイントは次の2点です。
1.ゴルフ会員権(「優先的施設利用権」部分)の取得価額が変わらない。
  ※ゴルフ会員権の取得価額は、できるだけ高い方が(譲渡損失が多くなるので)納税者にとって有利になります。

2.ゴルフ会員権の取得時期が変わらない。
  ※所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得となるため、取得時期が長い方が納税者にとって有利になります。

なお、この取扱いの変更は、過去に遡って適用することになっていますので、過去にゴルフ会員権の譲渡による譲渡所得を申告した方は、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることによって、納めすぎとなった所得税が還付される場合があります。
また、今回の変更は預託金返還請求権が全額カットされたゴルフ会員権を売却した場合に限られます。預託金返還請求権の一部のみがカットされたゴルフ会員権の取得費は、従来と変わりありません。詳しくは所轄の税務署またはコンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

川崎事務所 都筑正之

 

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