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グループ法人税制と連結納税制度

 本年度の税制改正の目玉である「グループ法人税制」については、3月15日付けのトピックスに内容を掲載いたしましたが、今回はグループ法人税制を踏まえた
連結納税制度の導入について取り上げてみました。

1.グループ法人税制

 平成22年度の税制改正で、100%資本関係がある会社間の課税関係を以下のように改正することになりました。

固定資産、土地、有価証券などで帳簿価額1000万円以上の資産の譲渡損益の課税を繰り延べます。
 すなわち、グループ内で上記の資産の譲渡があった場合には、譲渡益や譲渡損を計上しないで、グループ外に移転する時まで課税を繰り延べることになりました。

100%子会社からの配当金は、全額益金不算入となります。

③100%グループ法人間で支払った寄附金は全額損金不算入となり、寄附金をもらった法人も、受贈益が全額益金不算入となります。

親会社の資本金が5億円以上の子会社には、以下の中小企業の特例が適用できなくなります

  ・交際費の定額控除  ・貸倒引当金の法定繰入率
  ・法人税の軽減税率  ・繰戻還付の適用 など

2.連結納税制度

 平成22年度の税制改正では、連結納税制度も以下の点が改正となっています。

子会社の連結納税前の繰越欠損金の持ち込みが可能となります。

⑥承認申請書の提出期限が、事業年度開始の6か月前から3か月前に短縮され、連結納税導入の検討期間が確保されることとなりました。

3.連結納税制度導入の検討

 上記1のグループ法人税制は、100%資本関係がある会社間の取引については、強制適用となります。

 一方で、同じく100%資本関係がある会社間の連結納税度は従来通り選択制となっています。今回の税制改正で、いままで連結納税制度導入の
最大の障害であった連結子会社の繰越欠損金の持込制限が緩和されたことにより、今後、連結納税制度を適用するグループが増加すると思われます。

 連結納税制度導入のメリット、デメリットは、

①連結グループ内に、赤字会社と黒字会社が混在する場合には、赤字と黒字が相殺され、グループ全体としての法人税が少なくなります

②連結納税開始時には、連結子会社の固定資産について、直前事業年度で時価評価により評価損益を計上しなければなりません。

③一旦連結納税制度を選択すると、原則としてやめることはできません

④連結納税制度特有の所得、税額計算にかかる事務負担が増加します。

 連結納税制度の最大のメリットは、①の損益通算が可能となる点です。該当する会社については、その他のメリットやデメリットを考慮して、
連結納税制度導入の検討を一度してみてはいかがでしょうか?

川崎事務所 安木 夕夏

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