インボイス方式(適格請求書等保存方式)について

 2019年(平成29年)10月1日より消費税率の10%引上げが実施され、軽減税率制度が導入されます。あわせて、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、2023年10月1日から適格請求書等の保存が要件となる、いわゆるインボイス方式が導入されます。それまでの間については、現行の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応するための措置が講じられます。
 インボイスとは、請求書等に適用税率・税額の記載を義務付けたもののことです。欧州においては、免税事業者と区別するため、課税事業者に固有の番号を付与してその記載も義務付けています。現行の「請求書等保存方式」と「インボイス方式」の違いを整理してみます。

【現行制度 ~請求書等保存方式~】

≪計算方法≫
現行の請求書等保存方式では、消費税の納付税額は、売上げの税額から仕入れの税額を控除して算出します。具体的には、課税売上割合に応じて以下の方法によって仕入控除税額を計算します。

⑴ 課税売上割合が95%以上 かつ 課税売上高が5億円以下の場合
 →課税仕入れ等の税額を全額控除(いわゆる「95%ルール」)
⑵ 課税売上割合が95%未満 又は 課税売上高が5億円超の場合
 →次のいずれかの方式により計算

① 個別対応方式
② 一括比例配分方式

≪仕入税額控除の要件≫
 仕入の事実を記載した帳簿の保存に加え、取引の相手方が発行した請求書等(領収書、納品書等の書類)という客観的な証拠書類の保存を仕入税額控除の要件としています。

    ※請求書等に適用税率・税額を記載することは義務付けられていません。

【インボイス制度 ~適格請求書等保存方式~】
 
≪計算方法≫
 複数税率の場合、請求書等に適用税率・税額の記載がなければ適正な仕入税額控除の計算が困難となります。「インボイス方式」は、課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみを控除することができる方式です。

≪仕入税額控除の要件≫
 帳簿の保存に加え、適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者が発行した適格請求書等(登録番号や消費税額等を記載)の保存が必要です。
 課税事業者は、適用税率・税額の記載が義務付けられている「インボイス」の発行が義務付けられており、また、自ら発行した「インボイス」の副本の保存が義務付けられています。

 免税事業者は「インボイス」を発行できません。したがって、免税事業者からの仕入れについては仕入税額控除ができません(ただし2029年9月30日までは仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられます)。
※ 2019年10月1日から2023年9月30日までは区分経理に対応するための措置を講じつつ、現行の請求書等保存方式が維持されます。

 インボイス方式の下では、適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者は、一定の事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出し、登録を受けなくてはなりません(消法57の2②)。登録後はインターネットを通じて速やかに公表されます(消法57の2④)。

渋谷事務所 佐藤 郁子

 

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