
ふるさと納税~もらい過ぎにご用心~
<2022/11/22更新>
すっかりお馴染みとなったふるさと納税ですが、返礼品に税金がかることはご存知でしょうか?この話をするとびっくりされる方も多いのですが、実は一時所得として課税されます。まずは、この一時所得について解説いたします。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいい、以下の算式で計算されます。
一時所得の金額=(A)-(B)-(C)
A、その年中の一時所得にかかる収入金額
B、その収入を得るために支出した金額の合計額
C,特別控除金額の50万円
Aについては、一時所得に該当する収入を一年分合計する、という意味です。Bについては、Aの収入を得るために直接支出した金額なのですが、ふるさと納税で寄付した金額は、これには該当しません。ですので、ふるさと納税の返礼品に対する(B)の支出は、通常はないものと考えられます。Cについては、一時所得はあくまでも臨時的であるため、少額であれば課税しないという趣旨のもと、50万円の特別控除が認められています。従いまして、もらった返礼品の総額が50万円を超えていれば、課税される一時所得が発生していることになります。
ただし、一時所得の金額がすべて所得に合計されるわけではなく、上記計算式の1/2が課税の対象となります。
課税対象の金額=一時所得の金額×1/2+他の所得
では、返礼品の金額とは一体いくらなのか、気になるところです。いろいろ考え方はありますが、寄付金額の3割程度が一つの基準になりそうです。なぜなら、激化しているふるさと納税の返礼品競争をめぐり、総務省は全国の自治体に対し、平成29年4月1日付で返礼品額の比率を寄付額の3割までとするなどの要請を行い、これにより還元率が高かった返礼品は見直しがかかり、3割までに抑えられたためです。
また、「返礼品の総額が年間50万円を超えることなどない」という方も、気を付けなければならないことがあります。特別控除の50万円は、暦年で1回しか使えません。例えば、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金、懸賞や福引の賞金品などの一時所得があった場合、これらの一時所得にふるさと納税の返戻金の金額を加算しなければならず、控除額である50万円を超えることは十分に考えられます。こうしたことを加味した上で、上手にふるさと納税という制度を利用したいものです。
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東京練馬事務所 淺沼 利江