
でんさいの仕組みについて
取引先から、『弊社はお取引先様への代金支払につきまして、従来の手形での支払から「でんさい」による支払に移行させていただくこととなりました・・・』というような通知文が届いたことがある、またはこれから届くということが十分に考えられます。
それから、自社において「でんさい」を導入した、またはこれから導入を検討しているというケースもあろうかと思います。この「でんさい」とは何か、今回はその仕組みについて見ていきたいと思います。
<「でんさい」導入の経緯>
企業間の取引における、手形・振込に代わる新たな決済手段として、平成25年2月に「でんさいネット(株式会社 全銀電子債権ネットワーク)」の電子記録債権「でんさい」の取扱いがスタートしました。利用対象者は、法人、個人事業主、国・地方公共団体です。
現在、でんさいネットの利用者登録数は40万社を超えている状況であり、これまで手形の事務手続きや印紙税、保管・搬送等に悩まされてきた事業者や、支払手段を一本化して資金を効率化させたい、あるいは売掛債権を有効に活用したい事業者にとっては、これらを解決する新たな決済手段として大変期待されるものです。
<電子記録債権「でんさい」とは?>
電子記録債権は、単に手形・売掛を電子化したものではなく、手形・売掛債権の問題点を克服した新たな金銭債権であると言われています。
<「でんさい」のメリット その1>
「でんさい」はペーパーレスのため、手形の発行事務が無くなり、事務の負担が大幅に減らせます。また、手形の郵送代がいらなくなり、手形に貼付する収入印紙も不要となるので、コストの削減に繋がります。また、手形を受け取った側においても取立手続きが不要となり、ペーパーレスなので紛失や盗難の心配も無くなります。その他、額面を分割して譲渡や割引が可能となり、さらに手形を受け取った際に発行する領収書が不要となります。※
※領収書の発行要否については、当事者間の取り決め次第です。なお、領収書を発行する場合、「でんさい」で受け取った旨の記載があれば、収入印紙の貼付は不要です。
<「でんさい」のメリット その2>
支払い方法を、振込から「でんさい」にすることで、支払側と受取側でお互いにメリットが出る場合もあります。振込と「でんさい」で支払条件を変えることがポイントであり、支払側において振込の場合よりもサイトを延ばして支払っても、受取側において有利となることもあります。下記に、その事例をご紹介します。
上段が振込の場合の支払条件で、下段が「でんさい」の場合の支払条件です。一見すると「でんさい」への切り替えは、支払サイトが30日延びてしまうので、受取側において入金が30日遅れてしまい、よって支払側にしかメリットがないように感じます。しかし、受取側においては翌月15日に「でんさい」を受け取ることになっている(上記表の下段に“翌月15日に発生手続”として表記)ので、その日から売掛金の譲渡や割引ができるようになり、振込と比べて早く資金繰りに役立たせることができるようになります。ここに、支払側と受取側お互いにメリットが生まれることになるのです。
「でんさい」のメリットは他にも多数ありますが、今回は代表的なものと、「でんさい」についての、極々基本的な仕組みについて見てきました。自社にとっての導入のメリットを見極め、また強い企業体質になることのお手伝いができれば幸いです。ご不明な点、ご相談などございましたら、是非コンパッソ税理士法人までお問い合わせ下さい。
出典:でんさいネットHP