
「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と消費税 ~東京オリンピックへ向けて~
2003年4月、国土交通大臣が中心となり、官民協力体制の下「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と題する国を挙げた観光立国戦略が採られるようになりました。
この戦略により、2002年には524万人に過ぎなかった年間訪日外国人客数は、途中、2008年の世界金融危機及び2009年のリーマン・ショックの世界的な不況、2011年の東日本大震災とこれに伴う福島第一原子力発電所事故の影響を受けながらも、2013年には1,036万人に到達し、史上初めて1,000万人を超えたと発表されました。
今後は東京オリンピック開催の2020年までに2,000万人、2030年には3,000万人の訪日外国人旅行者と観光収入でアジアのトップクラス入りを目指しているとのことです。
そして現在、我が国ではこの取り組みに関連して、外国人旅行者が更に過ごしやすい環境の整備が求められています。
この環境整備は、外国人旅行者がどのような動機で日本を訪れるのか、どのようなことにお金を使っていくのかという観点からアプローチが行われているおり、これらのランキングは以下のようになっております。
<訪日動機ランキング>
1位 日本食を食べること
2位 ショッピング
3位 繁華街の街歩き
4位 自然・景勝地観光
5位 旅館へ宿泊
(2012年国土交通省観光庁調査)
<旅行消費額割合>
1位 宿泊料金 34%
2位 買物代 31%
3位 飲食費 21%
4位 交通費 11%
5位 娯楽・サービス費 3%
(2012年国土交通省観光庁調査)
そして、この環境整備の一環として両ランキングの2位にランクインしている「ショッピング」及び「買い物代」焦点に当てた消費税法施行令の改正が、平成26年税制改正大綱にて発表されております。それが「輸出物品販売場における輸出物品の譲渡にかかる免税」規定の改正です。
「輸出物品販売場」というとあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、繁華街などで「TAX FREE」の看板を掲げている家電量販店等をお見かけになったことがあるかと思います。こちらがこの「輸出物品販売場」に該当します。
実はこちらのお店は、日本国内で消費しない限りにおいて非居住者に対し「免税」で「一定の物品」の譲渡を行うことにつき、納税地の所轄税務署長の許可を受けているのです。
さて、この「一定の物品」についてですが、これまでは食品類、飲料類、薬品類、化粧品類等の消耗品は対象外とされておりました。しかし、2014年10月1日以後の行われる取引については、「その非居住者に対する同一店舗における販売額の合計が5千円超50万円を超えない範囲内」であれば、一定の手続きの下、上記消耗品も免税販売の対象となります。
これにより、外国人旅行者が日本の名産品をお土産として購入する場合に、輸出物品販売場で一定の手続きを経て購入すれば消費税は免除されることとなったのです。
この改正により「買い物を目的とする訪日外国人の増加」「訪日旅行消費額の増加」「地域の名産品の消費拡大による地域経済の活性化」が期待されています。今後、東京オリンピックが開催される2020年までに訪日外国人旅行者が目標の2,000万人に達するのか、そしてその経済効果がどのように高まっていくのか、期待を込めて注目していきたいと思います。
出典:国土交通省観光庁HP
輸出物品販売場制度の改正について 平成26年4月 国税庁