保育所における決算準備について(その1)

決算作業の1つとして、附属明細書(会計基準省令第30条関係)を作成する場合、附属明細書には、借入金明細書・寄附金収益明細書、補助金事業等明細書等があり、基本的には期中で処理した各勘定科目を集計し、その明細を取る作業になります。しかし、実際に作業を始めてみると、期中の処理に不備が見つかる場合が少なくありません。決算作業を早く正確に完了させるためには、事前準備が非常に重要となります。
この決算の準備作業について2回に分けてお伝えさせていただきます。

 今回は保育所における寄附金に焦点を当てます。
保育所の場合は、高齢者福祉施設などに比べると金銭の寄附というのは、そう多くない印象を受けますが、物品(ピアノやエレクトーン等の楽器、玩具等)を直接寄附されるケースは多々見受けられます。
 このような寄附物品、寄附申込書を受けた場合、会計上の処理はしっかりとなされているでしょうか?金銭であれば最終的に預金口座に入金されますので、計上が漏れることはあまりないのですが、物品の場合は、漏れていることが多くあります。
 いざ、付け合わせをした結果、計上が漏れていることが分かった場合、計上すべき金額と仕訳の方法は、把握されていますでしょうか?

 計上金額は、時価になります。取得時(寄附を受けた時)の時価になりますが、最近ではインターネットで情報があふれているので、そういった情報を活用して、実際に購入するとかかる金額を見積り計上します。その際の仕訳ですが、例えば数万円程度の玩具でしたら、玩具は保育材料として使用されるでしょうから、保育材料費という経常経費に対する寄附物品です。そのため、この場合は経常経費寄附金収益として計上します。

(借方)保育材料費 (貸方)経常経費寄附金収益 ○○○円
(借方)保育材料費支出 (貸方)経常経費寄附金収入 ○○○円(資金収支の仕訳)

上記のように、資金収支の仕訳が同時に起こされているかを確認してください。使用されている会計ソフトによっては、資金収支計算書に反映されないこともありますので、その場合は、「資金諸口」などの支払資金増減に影響する通過勘定を使うと仕訳として取引が反映されます。

(借方)保育材料費 (貸方)資金諸口  ○○○円
(借方)保育材料費支出 (貸方)支払資金 ○○○円(資金収支の仕訳)

(借方)資金諸口 (貸方)経常経費寄附金収益  ○○○円
(借方)支払資金 (貸方)経常経費寄附金収入 ○○○円(資金収支の仕訳)

また、「職員の皆様で召し上がってください」とお菓子などをいただいたものもあるかと思いますが、飲食物等で即日消費されるものの場合は、寄附として計上する必要はありません。

以上のことを忙しい4~5月に調べていると、精神的に余裕が無くなることも想定されますので、事前に準備しておくと決算時期に多少なりとも余裕が出てくるかと思われますので、ぜひ実践していただければと思います。

(参照)
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000153864.pdf
横浜青葉事務所 伊藤 瞬


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