社会福祉法人の新会計基準のポイント~第1回~

 10月25日付のTopicsで社会福祉法人の新会計基準についての概要をご紹介させて頂きましたが、今回以降3回にわたって、社会福祉
法人の新会計基準のポイントを見ていきたいと思います。今回は第1回として「新会計基準を導入する目的」と「新会計基準の枠組み」を
ご紹介させて頂き、次回以降、第2回として「財務諸表の構成」と「各財務諸表の変更点」を、第3回として「会計処理の変更点」と「注記・
附属明細書」を全3回にわたってご紹介させて頂く予定です。

1.新会計基準を導入する目的

(1)事務の簡素化

 社会福祉法人が運営する事業は様々ございますが、旧来から会計処理については事業ごとに異なる会計ルールが併存し、とても複雑なもの
となっておりました。これを新会計基準の導入により統一することが目的の1つとなっております。

(2)外部への情報公開や内部での運営分析に資するため

 既存の会計ルールは複雑で、一般の方々が計算書類を見ても内容を読み取りづらいということがありました。また、それは同時に、社会
福祉法人内部にとっても、計算書類から運営の状態を分析するにあたって不都合な部分が多くありました。これを解決するために新会計
基準を導入して、外部への情報公開や内部での運営分析に有用な情報を得られるようにすることが目的とされています。これにより新会計
基準は、より企業会計に近い形へと変貌を遂げ、既存の計算書類という名称も財務諸表へと変更する予定となっております。

(3)新公益法人制度との整合性

 平成20年12月から新公益法人制度が開始されております。公益法人においては、向こう5年間での公益認定や一般社団等への移行認定が
始まっておりますので、社会福祉法人においても、これと同じ流れで、会計一元化へ向けた会合がもたれ、社会福祉法人会計の新会計基準
が平成22年3月に公表されることとなりました。

2.新会計基準の枠組み

(1)新会計基準の適用範囲

 現行基準では、社会福祉法人会計基準や指導指針、病院会計準則や企業会計原則等、社会福祉法人が運営する事業区分(社会福祉事業、
公益事業、収益事業)、運営する施設の内容(保育園、病院、特別養護老人ホーム等)に応じて適用される基準がいくつもあるという状態
になっております。社会福祉法人の新会計基準においては、全ての社会福祉法人に新会計基準を一元的に適用することにより、現行基準の
ように様々な基準が併存することを避け、簡素な会計基準を創設することが可能になります。

(2)区分方法の変更

 社会福祉法人が会計処理を行うにあたって、その会計をどの単位で行うかという区分について、現行基準では、「会計単位」と「経理区分」、
指導指針では「会計区分」と「セグメント」という2つの区分の方法がありますが、素案においては、「法人全体」「事業区分」「拠点区分」
「サービス区分」という4つに区分し、統一化を図っております。ここで、「事業区分」とは、社会福祉事業公益事業収益事業ごとの区分
であり、「拠点区分」とは、一体として運営される施設事業所又は事務所を指します。また、「サービス区分」とは、同じ施設内で、
いくつかのサービスを行っている場合のその個々のサービスの区分を指します。
 
 次回は、第2回として「財務諸表の構成」と「各財務諸表の変更点」をご紹介させて頂く予定です。

参考文献:「社会福祉法人の新会計基準(素案)について」
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局、社会・援護局、障害保健福祉部、老健局)
「社会福祉法人会計基準(素案)」
「運用指針」(素案)

             

渋谷事務所 川上 大輔
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