社会福祉法人の新会計基準 移行準備期間に行うべきこと その4

今回は、実務上でもよくご質問等を受ける項目として、リース会計への対応について触れていきます。

移行時に必要な調整とは?
旧基準においては、ファイナンス・リース取引の取扱いについて特に規定はされていなかったため、リース料を支払った際に「賃借料」として費用計上する手法がとられてきましたが、新会計基準ではファイナンス・リース取引については原則として通常の売買取引にかかる方法に準じて会計処理を行うこととされました。
それでは、リース開始日が新会計基準移行前の取引、つまり従来「賃借料」として処理してきたファイナンス・リース取引については、移行時にどのように処理をすればいいのでしょうか。

社会福祉法人会計基準への移行時の取扱い」では、その処理方法として次のように記載されています。
1.会計基準移行年度において、賃貸借処理から売買処理に変更し、リース取引開始時から売買処理を適用した場合の会計基準移行年度期首までの減価償却累計額をリース料総額(現在価値へ割引後)から控除した金額をリース資産に、未経過リース料相当額(利息相当額控除後)をリース債務に計上する方法。
なお、リース資産計上金額とリース債務計上金額との差額は、過年度の収益又は費用として調整することとする。

2.会計基準移行年度における未経過リース料残高相当額(利息相当額控除後)を取得価額とし、会計基準移行年度期首に取得したものとしてリース資産、リース債務を計上する方法。未経過リース料期末残高相当額(利息相当額控除後)を取得価額とした場合は、会計基準適用後の残存期間における利息相当額については、利息法によらず、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額で配分することができる。

読む気が無くなるほど長い文章ですが、要約すると上記の2つの方法は、「リース契約当初から新会計基準を適用して処理をしてきたと仮定した場合に、移行初年度の期首貸借対照表に計上されているべき金額はいくらになるはずか?」という考え方に基づいているといえます。確かにこれはもっとも理にかなった方法であるといえるでしょうが、実際に会計処理をされる方からするとなかなか厄介ですね。そういった事務負担を軽減させる意図もあるのでしょう、「移行時の取扱い」ではもう一つの方法が示されています。

3.リース取引開始日が会計基準以降年度前の所有権移転外ファイナンス・リース取引で、従来賃貸借処理を行っていたものについては、当該リース契約が終了するまでの期間、引き続き賃貸借処理によることができるものとする。

簡単に言ってしまえば、これまで通りリース料支払い時に「賃借料」として費用処理していいですよ、ということです。移行処理にかかる手数を考えれば、3.の方法を採用するところが多いでしょう。ただし、本文にもある通り、適用可能なものが「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に限定されていますので、「所有権移転ファイナンス・リース取引」に該当するものについては、1.または2.の方法で処理せざるを得ないこととなります。

移行処理のために何を準備する?
上記のように、ファイナンス・リース取引の新基準への移行にあたっては3つの方法から選んで処理することがわかりました。その処理をする上で、必要不可欠なものがあります。それはなんでしょうか?

それは「リース契約書」です。

リース取引には、下記の3つの形態があり、それぞれ採用できる移行処理方法が異なります。
    1.所有権移転ファイナンス・リース取引(上記「移行時に必要な調整とは?」のいずれかの方法による)
    2.所有権移転外ファイナンス・リース取引(           〃           )
    3.オペレーティング・リース取引(特に処理不要)
すでに契約しているリース取引が、1.~3.のどれに該当するのか?リース料総額はいくらで、それに含まれる利息相当額はいくらなのか?これらを適切に判定しないことには適正な移行処理を行うことができません。そのために必要な情報がすべて記載されているのが、契約書なのです。
現在契約中のリース物件全ての契約書はお手元にありますか?すでに契約が終了しているものに関する契約書が紛れ込んでいたりしませんか?早い段階で確認をしていただくとともに、契約書が見当たらない場合には早めにリース会社に連絡を取り、準備をするようにしましょう。

新会計基準への移行処理は、たった一度だけの作業ですし、今まで目にしたことがなかった言葉や会計処理方法に直面して不安に思われることもあるかもしれません。しかし、事前にしっかりと準備をしておけば、恐れることはありません。移行までの残された期間は半年を切りましたので、早めに準備を進めていきましょう。
私どもコンパッソ税理士法人では、新会計基準移行初年度から移行のお手伝いをさせて頂いております。ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

横浜青葉事務所 村山健太

 

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