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保育所運営費等の弾力運用

前回は保育所における30%基準について紹介しました。過大な当期末支払資金残高(繰越金)の保有は望ましくないというものでしたが、逆にこの繰越金、うまく使用する方法はないものでしょうか。今回は保育所運営費等の弾力運用の一部をご紹介したいと思います。

弾力運用とは?
そもそも保育所の運営費は、その保育所の運営に必要な経費(人件費や管理費、入所児童の処遇に必要な事業費)に支出されるものである旨、「児発第299号」(以下「299号通知」とよびます。)に記されています。     
その中で保育所が一定要件を満たすことにより、この保育所運営費等の使途範囲を段階的に広げていくことを弾力運用といいます。
この対象になる保育所運営費等ですが、299号通知では、
    1.その年度の運営費収入
    2.積立資産
    3.前期末支払資金残高(繰越金)
についての弾力運用を示しており、今回はこのうち3.について触れていきます。

満たすべき要件
前期末支払資金残高(繰越金)を弾力的に使うにはどのような要件が必要となるのでしょうか。
この要件とそれを満たすことによる使途範囲、これらはそれぞれ段階的になっており大きく3つの段階として考えることができます。これを仮に第1段階~第3段階(1→3段階に向けて要件が増えていきます。)と呼ぶとしますと、前期末支払資金残高については第3段階を満たすことで、より弾力的な運用が可能となります。
ここで各段階の要件の概要を挙げてみます。
   ・第1段階・・・児童福祉法第45条第1項の基準を遵守するなど計7つの要件を満たしていること
   ・第2段階・・・第1段階の要件に加え、延長保育等のいずれかの事業を実施し、かつ社会福祉法人会計基準に基づいて経理処理を行うこと
   ・第3段階・・・第2段階までの要件を満たした上で、下記1.及び2.の要件を満たすこと
        1.社会福祉法人会計基準等に基づく一定の計算書等を保育所に備え付け閲覧に供すること
        2.毎年度、次のアまたはイが実施されていること。
              ア.その保育所が第三者評価を受審し、その結果の公表を行ってサービスの質の向上に努めること
              イ.苦情解決の仕組みを利用者等に周知し、第三者委員を設置し適切な対応を行うとともに、利用者等からのサービスに係る苦情内容と
                解決結果の定期的な公表を行って利用者保護に努めること
(以上の要件についてはあくまでも概要ですので、詳細は299号通知等をご参照下さい。)

第1、第2の要件については満たしている保育所がほとんどであると思われますが、第3の要件はある程度意識しないと満たせないかもしれませんので、ここがポイントとなるのでしょうか。

使途範囲の拡大
さて、第3段階の要件を満たすと前期末支払資金残高はどう使えるようになるのでしょうか。299号通知に示された内容をおおまかにお伝えすると以下のようになっております。

その保育所の通常の経費の不足分を補填できるほか、当該保育所運営に支障が生じない範囲において以下の経費に充当することができる。』
   1.当該保育所を設置する法人本部の運営に要する経費
   2.同一設置者が運営する社会福祉法第2条に定める第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業並びに子育て支援事業の運営、施設整備等
     要する経費
   3.同一設置者が運営する一定の公益事業等の運営に要する経費

一定要件を満たせば、保育所運営費を財源とした資金が他の事業の経費に充当できるようになるのです。これはかなり弾力化された使い方ではないでしょうか。法人によっては効果的に使えるところも出てくるでしょう。

大事なことは
これまで述べてきたことはあくまでも概要です。厳密には299号通知等に示されており、それに沿って資金運用を行うこととなります。したがって、やはりここにおいても通知の理解が必要不可欠です。理解した上で保育所がどの段階の要件を満たしているのか、これを法人として明確に認識することも必要となります。299号通知は非常に読みづらい通知ですので、丁寧に読む必要があります。
弾力運用を行った後で実は要件が満たされておらず、資金を保育所に戻すよう指導されてしまった、などということがないように気をつけたいものです。もし上記の件で、ご相談やお困り事がございましたらコンパッソ税理士法人までご相談ください。

横浜青葉事務所 久保田良次

 

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