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保育所の30%基準と民改費のインパクト

社会福祉法人は3月が決算月ですので、今頃は決算作業に追われていることと思います。しかし、苦労して決算書を作成してはみたものの数字をチェックした結果、資金運用の通知に抵触していた…! などということはないでしょうか。
特に認可保育所においては通知において保育所運営費の使途が細かく規定されているため、その使い方や残し方に注意が必要です。
今回は保育所における「30%基準」について少しだけ考察してみます。

30%基準
認可保育所は主に「運営費」によってその経営が行われており、この運営費の使い方に関する代表的な通知「児発第299号」(以下「299号通知」とよびます。)の3(2)において「なお、当期末支払資金残高は、・・・・当該年度の運営費収入の30%以下の保有とすること。」と定められています。(これを俗に「30%基準」と呼ぶこともあります。)
当期末支払資金残高(繰越金)は、適正に運営費を使って、将来発生が見込まれる経費を計画的に積み立てた結果として残るものだから、これを過大に保有しないようにしなさいとの指導なのです。

抵触した場合
仮に30%基準に抵触した場合は、当然ながら所轄庁の指摘を受けてこれを改善するよう指導されることとなりますが、入所児童の処遇等に不適切な事由が認められなければ、ペナルティは特に明記されておりませんでした。
しかし、平成24年11月にこれを見過ごせなくなる、ある通知の改正が行われました。299号通知に対するQ&Aの位置づけである「児保第21号」の改正です。
「(問22)・・・30%を超える場合の取扱い如何。 (答)・・・30%を超えている場合については、超過額が解消されるまでの間、民間(施設)給与等改善費について加算を停止すること。」というQ&Aが追加されました。
つまり、改善を怠っていると民改費の加算を停止する、というペナルティが明記されたのです。

民間施設給与等改善費?
ここでいう民間施設給与等改善費(民改費)とは何でしょうか?
ごく簡単に言えば、民間の保育所職員の給与を公立の保育所職員の給与程度に「改善」するために加算されるもので、職員の平均勤続年数によりその加算率が定められています。もう少し詳しく言いますと、保育を実施するために支弁される運営費は、入所児童1人当たり月額の単価が決められており、これは「基本分保育単価」に「民改費」を加算した額とされています。
さらには保育所の所在地や規模(定員)、入所児童の年齢等の各種要件によって細分化されており、一例をお示しすると以下のようになっています。

【保育所の状況】
  所在地の地域区分: 12/100(人事院規則による)
  規模(定員)     : 90人
  施設長        : 設置
  民改費加算率   : 10%
【単価】(平成25年度当初)

これを基に、入所児童が以下の場合の年間の民改費加算額を計算すると・・・
(入所児童数)
    乳児 10人、1・2歳児 30人、3歳児 20人、4歳児以上 30人  計90人
(民改費合計)
    15,430×10+8,680×30+3,950×20+3,280×30=592,100
    592,100×12ヶ月=7,105,200

再三の指導にも関わらずその改善を行わずに、もし年間分の民改費加算停止となった場合は、保育所経営にかなりのインパクトを与えることとなるのがわかります。民改費の加算停止は絶対に避けなければなりません。

大事なことは・・・
1.通知の理解
保育所の運営費は他の福祉事業(介護、障害)に比べて、資金の使途制限が複雑で厳しいものとなっております。参照すべき通知も上記以外に、「児保第12号」、「児保第13号」など多岐にわたり、普段からその理解に努めることが大事です。場合によっては専門家を使うことも有用でしょう。

2.迅速かつ適正な会計処理
通知の理解ができていたとしても、実際の会計の状況がわからない、あるいは適正でなければ、その対応(特に金額面で)をしたくてもできないこととなります。タイムリーかつ適正な会計処理を普段から行うことが大事です。特に社会福祉法人会計は今、新会計への移行時期です。会計・経理に不安を覚える場合には、このタイミングで一度整備をしてみるのもよいでしょう。

3.上手な法人内資金融通
保育所の運営費は使途制限が厳しいのですが、一定要件を満たせば他の社会福祉事業等の経費に充当することも可能ですから、複数の事業や拠点を展開する法人においては上記1.と2.を踏まえた上で、ぜひ上手に資金を使ってほしいものです。

どのような要件を満たせばいか、どのような経費に充当できるかは、また改めてお話しさせて頂きます。
上記の件で、不明点等ございましたら、コンパッソ税理士法人までお気軽にお問合せ下さい。

横浜青葉事務所 砂田力

 

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