介護事業の担い手としてのNPO法人

 現在、日本の人口は約1億2千万人であり、このうち65歳以上のいわゆる高齢者人口は約3,400万人となりました。増加する高齢者人口は、2036年に3人に1人が高齢者となることが予想されています。
 高齢者人口の増加とともに、介護事業の担い手として、営利法人、社会福祉法人、医療法人、NPO法人といった法人がこの市場に算入しています。
 今回は、このうち介護事業の担い手としてのNPO法人に着目して、現在置かれている経営環境についての課題を抽出し、改善の方向性について考察してみます。
 NPO法人とは、特定非営利活動促進法に掲げられている20種類の特定非営利活動を行うことを目的として設立認証された法人です。
 この20種類の活動のうち「保健、医療又は福祉の増進」がNPO法人に最も多く取り組まれており、介護事業はこの活動に該当します。そしてNPO法人が行う介護事業は、訪問介護、通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護といったサービス提供が比較的多く取り組まれています。
 これらの介護事業の担い手としてのNPO法人の経営環境について、次の表にまとめてみました。

 特定非営利活動促進法は平成10年に施行され、施行から19年が経過しました。設立当初40代、50代だった経営者は、現在60代、70代になっています。代表者の年齢層は60歳以上および70歳以上が64.9%と、いわゆる高齢者が多数を占めています。経営層のみならず、年数が経過しますと利用者も超高齢化しますので、利用者入院の増加、利用者の入れ替わりといった収益減少の時期を経験することになります。さらに、人と同様、建物も年数経過による修繕の支出が多額に発生する時期が必ず到来することでしょう。
 事業規模に着目しますと、NPO法人の収益規模は平均4,803万円であり、1千万円超~5千万円以下の法人が39.4%と最も多く占め、また、資金の借入先としては個人からの借入が多く、借入先の52.3%が個人借入となっています。小規模経営の場合、変化する経営環境に対し対応を見誤れないという不安が残ります。
 これらの外部環境、内部環境の課題に対して、経営規模を拡大し安心を得るという選択肢があってよいのではないでしょうか。
NPO法人の経営規模の拡大としては合併が挙げられますが、特定非営利活動促進法では、合併先がNPO法人に限定されています。そのため、NPO法人同士の合併による事業規模拡大は小規模同士となり、2法人以上による合併が必要になるかもしれません。
 NPO法人に類似する法人組織、類似する事業を行っている事業者として、NPO法人よりも比較的経営規模が大きい社会福祉法人との連携はどうでしょうか。NPO法人と社会福祉法人との合併は法で制限されているため認められません。しかし特定非営利活動促進法では、NPO法人の残余財産の帰属先として、国又は地方公共団体等のほか社会福祉法人が掲げられており、定款に従い法人解散決議の後、清算人によって残余財産の帰属先として社会福祉法人を選定することができます。
 介護事業の担い手としての社会福祉法人もまた、先に記述した外部環境についてNPO法人と同じ課題を抱えており、解決の手立てとして経営規模の拡大を模索している社会福祉法人は少なくありません。
 私どもコンパッソ税理士法人では、NPO法人と社会福祉法人のお互いが課題解決の糸口となるべく事業連携についてのご相談も承っています。どうぞお気軽にご連絡ください。

参考資料
内閣府:平成27年特定非営利活動法人に関する実態調査
日本政策金融公庫総合研究:NPO法人の経営状況に関する実態調査
厚生労働省:介護サービス施設・事業所調査の概況

横浜青葉事務所 畠山安定

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