相続税の税制改正について

今般の社会保障と税の一体改革の流れの中で相続税は50年ぶりの増税に向けて見直しの方向で検討されています。
今回は皆様の関心も非常に高い相続税の改正案について、改正に至った経緯、その概要とポイントについてご説明致します。

皆様ご存知の通り、我が国は少子高齢化の進行による社会保障関係費の増大、度重なる減税と景気低迷に伴う税収減などが相まって危機的状況にあり、税収の回復が喫緊の課題となっています。
消費税の引き上げについても注目されていますが、消費税は広く一般大衆課税ですから、そのような増税をお願いするならば、それに先駆けて高額所得者や資産家の方に先にご負担をお願いするのが筋道だろうという考えもあって、まず相続税の増税に舵を切ったかと思われます。

相続税は格差是正・富の再分配の観点から、非常に重要な税です。
相続税は、バブル景気を背景に、都市部の地価が高騰したことへの対策として減税が繰り返されてきました。

昭和58年  基礎控除2000万+法定相続人1人当たり400万
昭和63年  基礎控除4000万+法定相続人1人当たり800万
平成 6年  基礎控除5000万+法定相続人1人当たり1000万
改正案    基礎控除3000万+法定相続人1人当たり600万

昭和58年の地価を100とした場合、その後27年間の地価の推移ですが、バブル期ピークの平成3年には、58年比で3倍を超えるまで大きく地価は上昇していきました。しかし、その後地価は下落の一途で、現在では昭和58年当時以下(100以下)にまで下がっています。

地価は下落を続けているにもかかわらず、基礎控除の水準は据え置かれてきました。
基礎控除額が地価の急騰に応じて引き上げられてきたというこれまでの背景からすると、地価が58年以前の水準にまで下落したにも関わらず、基礎控除額だけが高止まりしているのはおかしいのではないかという意見は当然出てきますし、相続税の課税割合もピーク時には8%近くあったものが、今では4%にまで落ちています。
つまり、ピーク時には100人亡くなって8人が相続税を納めていましたが、今は100人亡くなって4人しか相続税を納めていません。資産の再分配機能の低下が問題視されています。

今回、現行水準の6掛けに基礎控除額が引き下げられますが、その根拠としては、昭和50年代半ばの物価や地価の水準を基に当時の基礎控除額を現在に引き直してみると、おおよそ3100万円になるということで、3000万にしたとの説明です。
国税庁が毎年公表しています年間の相続税の申告件数は、平成20年は48,016名でした。
死亡者数は114万人ですから、その相続税の申告割合は4.2%です。平成21年度でも4.1%(約4万6000人)です。
今回の改正案によって課税対象が約6%(7万人)に広がり、約2,900億円の増収になると想定されています。

上記の内容はまだ案の段階でありますが、今後内容の変更があるにせよ、増税に向けた動きは避けて通れないと思われます。
相続税はもとより、相続全般に関しまして、何か不明点・不安点等ございましたら、お気軽にお問合せ下さい。

川崎事務所 河原崎洸

 

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