相続税の取得費加算の特例の縮小について

平成26年税制改正大綱において「相続税の取得費加算の特例」の縮小が盛り込まれましたので、その詳細をご紹介いたします。

現行の取得費加算の特例の概要
まず、現行制度についてご説明いたします。
現行制度では、相続開始の日から3年10ヶ月以内に相続財産を譲渡した場合には、譲渡所得の計算上、納付した相続税額のうち譲渡した相続財産に対応する相続税相当額を取得費に加算できます。
また、土地については、他の資産よりも有利な規定となっており、相続開始の日から3年10ヶ月以内以内に相続により取得した土地を譲渡する場合には、当該土地の取得費に加算できる額は「相続した全ての土地に対応する相続税相当額」とされています。よって、相続した一部の土地を売却した場合でも、売却した土地にかかる相続税だけではなく、売却しない土地にかかる相続税に関しても売却した土地の取得費に加算することができます。

改正内容について
税制改正大綱では以下のように示されています。

(税制改正大綱抜粋)
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用する。

上記のとおり、当該改正により平成27年1月1日以後に開始する相続により取得した土地の譲渡については、取得費に加算することができる相続税の額が、現行では「相続した全ての土地に対応する相続税相当額」とされているのに対し、「譲渡した土地等に対応する相続税相当額」とされ、その範囲が縮小されることとなりました。

この改正は、単に地主や富裕層に対する増税となるだけでなく、相続財産の大部分を土地が占め、相続税の納税資金を相続した土地の売却でまかなう場合には、改正前よりも多くの土地を売却する必要が出てくるといった影響が予想されています。相続という権利と納税という義務を両立し、先祖代々の資産を遺していくためにも相続発生前のタックスプランニングの重要性が高まることは間違いありません。
相続発生前の事前計画に関してお困りのことがございましたら、コンパッソ税理士法人にお気軽にお問い合わせください。

出典:税務通信(No.3308)
    平成26年度税制改正大綱

渋谷事務所 長原将人

 

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