白井相談室第4回『親子間の借入と贈与税』

第4回目は、親子間の借入について取り上げてみたい。
親子間借入については税務上その証明がしばしば問題になります。時には借入が認められず、多額の贈与税が課税されたりもします。従って、相談の多い事項です。

(質問)
このたび、子供が事業を始めましたので、事業資金として500万円融通しました。聞くところによると、このような親子間の資金移動は贈与として課税されてしまうことがあると言う注意を受けましたので、あくまでも金銭の貸借であるつもりですので、税務上どのような注意をしたらよいでしょうか?

(答)
親子間の金銭借入(貸借)が、事実貸借であることを認めてもらうためには、契約書の他、借り主に返済能力があり確実に返済がなされているなどの事実が必要になります。
ある時払いの催促なしや借用書や金銭貸借契約書もなく従って返済の事実もないというような状態ですと贈与税課税を受けても仕方がないといえましょう。
また、相続税法第9条では、対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合には、その利益を受けた者が、利益の価額に相当する金額を贈与により取得したものとみなされます。つまり、贈与契約によって取得した財産でなくても、その内容が実質的に贈与したと同じような効果を生じる場合も、税負担公平の考え方から、その取得した財産を贈与により取得したとみなして贈与税を課するというものであります。
親子間といった特殊関係者間においては、通常ありえない契約で金銭授受がなされやすいため、その取引がきちんとした金銭消費貸借契約に基づいてなされたものか、つまりその借入の事実認定が特に重要となります。

親子間借入の注意点をまとめると下記のようになりますので参考にしてください。
(1)金銭消費貸借契約書(または借用書)をきちんと作成し、返済期限・返済方法等をきちんと記載すること。
(2)借入の理由を説明できるようにしておくこと。
(3)返済能力を証明できるようにしておくこと。
(4)返済の事実を証明する資料を用意すること。例えば銀行振り込みなどなら客観的な証拠資料となり得える。
(5)また、金額によっては相当の利息を支払わなくてはならない可能性がある。

以上のように、事実認定はめんどうなことが多く、個々の事例によって異なることがありますし、また誤解されやすいものですから、実際の取り扱いは税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

代表社員税理士 白井輝次

 

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