未分割財産の取扱いについて

相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内ですが、申告期限までに遺産分割がまとまらないケースは少なくありません。そこで今回は、未分割財産の相続税法上の取扱いについて、ご説明したいと思います。

結論から述べますと、被相続人の財産の分割が相続税の申告期限までにされていない場合には、その未分割の財産は、民法の規定に従い、相続人が取得したものとして、相続税の仮申告をすることになります。詳細につきましては下記のとおりとなります。

相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合又はその財産に係る相続税について更正若しくは決定をする場合において、その相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法(寄与分を除く)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従ってその財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。(相続税法第55条 未分割財産に対する課税)

なお、未分割財産とは以下の算式により求められます。
未分割財産 = 被相続人の遺産総額 - 民法第897条に規定する財産 - 特定遺贈財産 - 一部分割財産

正味の遺産額が、相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の申告及び納税が必要となります。正味の遺産額とは、被相続人の遺産総額から相続税が課税されない非課税財産、葬式費用及び債務を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産を加えたものになります。

申告が必要な場合、相続人は原則として相続の開始があったことを知った日から10ヶ月を経過する日までに相続税の申告書を提出し、相続税を納付しなければなりません。しかし、相続人の間で永久に財産を分割しなければ、相続税を計算することができず、相続税を国に納付することができません。相続人にとって、相続税を国に納付することができないということは、相続財産を使えないことに支障さえなければ嬉しいことになります。そのため、国側は上記の相続税法第55条の規定により、相続人が未分割財産を一定の割合で取得したものとして、相続税額を一旦計算させて、相続税を国に納付させます。
国側の言い分としては、これにより相続財産の課税漏れを防ぐことができるということだそうです。

なお、未分割財産については、財産の利用者が明確ではないため、配偶者に対する相続税額の軽減の規定や、小規模宅地等の課税価格計算の特例の規定などの相続税額を減額する特例の一部を適用することができず、場合によっては、一時的に多額の相続税額を納付する必要があります。
その後、実際に分割が行われた場合には、改めて申告をし直し、配偶者に対する相続税額の軽減、小規模宅地等の特例を適用することが可能となります。これにより、仮申告で納めた相続税と実際の申告で納める相続税との差額を、国に納付するか、国から返してもらうことになります。

相続に関してご相談事項がありましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までお問い合わせ下さい。

出典:国税庁HP

渋谷事務所 今山優太

 

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。


関連記事

■白井相談室第9回『粗末な遺言書でも効果を発揮した事例』

■相続により取得した「空き家」の譲渡所得について

■「老後資金」の準備は考えていますか?

■「家なき子特例」の適用とは?

■資産の無償移転による課税関係について