任意後見制度

問題の多い年金制度を考えると、生涯に渡って安定した生活を送ることはできるのだろうか・・・と多くの方が不安を感じていると思います。又、たとえ生涯に渡って金銭的には安定していたとしても、将来は認知症になってしまうかも・・・と高齢者の方に限らず不安を感じていると思います。

認知症の年間発症率は65~74歳では1~2%ですが、75歳を超えると急に高まり、80~84歳では8%を上回るという恐ろしい報告が有ります。
高齢者(65歳以上)の方の認知症の有病率は調査によってばらつきは有るものの、3.0~8.8%との報告があり、2026年には10%に上昇し、今後増加の一途をたどるという推計も有ります。
(10人に1人は認知症にかかっているということですね・・・)

又、認知症患者を対象にした悪徳商法などが多発しており、悪質リフォームや、金融機関による金融商品の無断契約などは、数多く報じられています。成年後見制度はこのような認知症患者を対象とした事件に対する解決策としても有効といえるでしょう。

成年後見制度には、任意後見制度法定後見制度の2つの制度があります。
任意後見制度とは、今は元気で何でも自分で決められるけれど、将来、認知症等になったときのことが心配だと感じている方が、自分の判断能力が低下したときに、自分の一番信頼している人に、自分を支援してもらいたいという思いを契約という形にする制度です。
法定後見制度とは既に認知症等を発症しており、自分で判断する能力が不十分な方に、家庭裁判所によって選ばれた人が代理人として支援する制度です。
任意後見制度法定後見制度との大きな違いは、自分を支援してくれる人と支援をしてもらう内容を、自分自身で決めておけるという点です。

実際に私が任意後見制度を利用した際の手続きの流れは、依頼者の方がご高齢でしたので、まずは医師による診断を受けていただき、判断能力が十分に有るとの診断書をいただきました。
次に、支援をしてもらう人と一緒に公証役場へ行って、公証人の立ち会いのもとであらかじめ決めておいた支援をしてもらう内容等を基に、任意後見契約を結び、公正証書を作成してもらいます。公証人は職権により東京法務局にその内容を登記する手続きを行います。これで、任意後見制度の手続きは完了です。

その後、本人に認知症等の症状が見られる様になったときに、支援をする人等が家庭裁判所に後見開始の申し立てを行い、支援する人が本人に代わって様々な手続きを行うことができるようになります。
家庭裁判所は、支援する人を監督する人を選任しますので、支援する人の不正等もチェックできるしくみになっています。又、本人が監督人を誰に頼みたいかを推薦し、任意後見契約書に記載しておくこともできます。

任意後見契約は、将来の老いの不安に備えた「老い支度」・「老後の安心設計」であると言われています。
任意後見契約を締結してもそれを使わないまま最後まで元気で大往生ができるかもしれません。そのときは、任意後見契約書の作成費用等は無駄になってしまいますが、それは素晴らしいことですし、自分自身で将来の不安に備えておくことが、大切だと思います。
任意後見制度のことでご相談等ございましたら、コンパッソ税理士法人までご連絡ください。

千葉流山事務所 金子真奈美

 

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