不動産課税の評価誤り判決

朝日新聞平成28年1月30日付朝刊27面(北海道本社)に「不動産課税、札幌市評価『誤り』 地裁判決、差額返還命じる」という記事が掲載されました。
固定資産税などを課税する際、札幌市が誤った算定方法を用いたため税金を過大に徴収されたとして、札幌市の不動産会社が札幌市と北海道に損害賠償を求めた訴訟です。

札幌地方裁判所は平成28年1月28日、固定資産税の算定方法の違法性を認め、札幌市と札幌市算定の評価額を基に課税した北海道に税金の差額分など計約62万円の支払いを命じる判決を言い渡しています。この訴訟で課税方法が問題となった建物は、10階建てマンションであり、1個の事務所部分と32個の住居部分の計33個の専有部分がある一棟の区分所有建物です。原告は、1階事務所用物件部分を所有しています。

地方公共団体の課税実務において参考とされている固定資産税研究会編集『固定資産税実務提要』には、複数の用途に供されている一棟の家屋の評価については、原則として主たる用途に応じた経年減点補正率を適用すべきとしつつも、家屋の評価及び課税の均衡上の問題があると市町村長が認める場合には、例外的に、用途、構造の異なる部分ごとに異なる経年減点補正率を適用することができる旨記載されています。
札幌市は、例外的方法の算定方法が採用され、長年にわたって実務の運用が行われてきました。

札幌市と同じ例外的な算定方法を採用している政令指定都市は、横浜市、相模原市、浜松市、大阪市、北九州市、熊本市です。
区分所有建物全体における主たる用途に応じた単一の経年減点補正率を適用している政令指定都市には、新潟市、さいたま市、千葉市、川崎市、静岡市、名古屋市、堺市、広島市、福岡市があります。

どの算定方法を選択するかは、自治体によって異なっていることもこの訴訟で明らかにされています。また、この運用について、所轄行政庁である自治省ないし総務省等から違法であるとの指摘を受けたり、裁判上違法であるとの判断が示されたりしたことをうかがわせる事情はないようです。

事務所は住居よりも経年による補正率の数値がゆるやかに下がっていくため、事務所と住居部分を有する区分所有建物に主たる用途である住居の補正率のみを用いると、建物の価格は低くなり税額が少なくなります

判決を受け札幌市は控訴しています。今後の控訴審で、札幌高等裁判所がいかなる判断を示すかが注目されます。

出典:朝日新聞平成28年1月30日付朝刊
    週刊税務通信No.3402
    TAINS

渋谷事務所 森亜希子

  

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