医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設 その2

平成26年度の税制改正大綱で、持分あり医療法人が持分なし医療法人に円滑に移行できるよう、納税猶予等が創設されました。
出資持分問題(相続税課税と払戻請求)を未解決で相続を迎えても、相続税の申告期限(相続後10月以内)までに「認定医療法人」になれば、最長3年、相続・事業承継の解決(準備)期間が得られることになります。
今回は前回に引き続き、問題点、課題についてご紹介します。

問題点
1.持分「あり」から「なし」へ移行が前提である。
すべての出資者の出資持分の放棄が必要。本要望措置においては、出資者も含め法人全体で持分なし医療法人への移行を検討する体制を確保することを要件としています。

◆アンケート調査結果

◆移行を志向しない理由
(1)出資持分は、オーナーシップの源泉であり放棄できない
(2)相続税を支払っても、医療法人を子孫に承継できない
(3)同族経営を維持したい

2.持分「あり」から「なし」への移行に際し、相続税法66条4項(負担が不当減少しない要件)と同等の要件をクリアしなければならない。

◆持分放棄に伴う贈与税課税(相法66条4項)
移行前の医療法人の出資者が、その出資持分を放棄したことによって、親族等の相続税又は贈与税の負担が不当減少した場合には、相続税法第66条第4項の規定の適用を受け、医療法人を個人とみなし、医療法人に対し贈与税が課税されます。

◆「負担が不当に減少」することの判定(相令33条3項)
(1)運営組織の適正化
(2)同族親族等関係者が役員等の総数の3分の1以下であること
(3)医療法人関係者に対する特別利益供与が禁止されていること
(4)残余財産の帰属先が国、地方公共団体、公益法人等に限定されていること
(5)法令違反等の事実がないこと

3.移行期間(3年)内に移行出来ない場合は(利子税付き)で納税しなければならない。
(1)納税資金の調達ができるのか
(2)遺産分割のやり直しはできるのか
(3)連帯納付義務問題の発生など

4.納税猶予には「担保の提供」が必要となる。
医療法人の「基本財産」は担保提供不可

課題
本要望措置を創設することにより、病院を経営する持分なし医療法人への移行の意思は、13.5%増加でした。診療所を経営する持分なし医療法人への移行の意思の増加は、わずか7.6%でした。
地域住民に対して医療を安定的に提供するために、今後は「持分あり」のまま同族経営で承継できる税制が必要なのではないでしょうか。

以上となります。正式に閣議決定された際に、またこちらの内容につきましてご紹介したいと思います。

出典:厚生労働省HP

川崎事務所 會田明美

 

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