AKBメンバー斬りつけ事件 労災保険は適用される!?

今年の5月、岩手県での「AKB握手会」で、ノコギリを持った男にメンバー2人が斬りつけられるという事件が発生しました。斬りつけられたメンバーは川栄李奈さん、入山杏奈さん、いずれも10代の若い2人です。ところで、襲撃された2人は、AKBメンバーとして業務中に襲われてケガをしたことになりますが、労災保険の適用はあるのでしょうか。なお、個人的な恨みによる襲撃であれば労災保険の対象にはなりませんが(業務とは関係ないため)、事件の犯人は「AKBメンバーなら誰でも良かった」と証言しています。今回はこの件について考えてみたいと思います。

労災保険が適用されるかどうかは、(法律上の)「労働者」であるかどうかによりますが、そもそも、芸能人は「労働者」にあたるのでしょうか。
結論として、「芸能人個人の業務内容」により異なります。
例えば、鈴木福くん、芦田愛菜ちゃんなど、いわゆる子役は、問題なく「労働者」です。自分で仕事内容を決める裁量もなければ、報酬を交渉する立場にもないからです。それを証拠に、子役には労働基準法が適用されています。生放送では「そろそろ○○くんはお時間なので・・・」と、ある時間になればテレビに映らなくなりますよね。あれは家庭の都合や仕事の事情ではなく、労働基準法が適用されているからなのです。
労働基準法によれば13歳未満の児童については深夜業が禁止され、その深夜業とされるのが20時からと定められています。したがって、芸能人でも、このような子役については「労働者」として、労働基準法がしっかりと適用されているのです。

それでは、子役以外の芸能人についてはどうなのでしょうか。
それは、厚生労働省の通達(「芸能タレント通達」昭和63.7.30基収第355号、別称「光GENJI通達」)に照らして、個々に判断する必要があります。この通達には、簡単にいうと「本人の歌唱力、演技等が他人には代替できない才能があること」「報酬が時間単価によらないこと」など、いくつかの基準が定められています。
そこでAKBメンバーに照らして考えてみると・・・
例えば、渡辺麻友さん、指原莉乃さん、柏木由紀さんなど、知名度抜群の主要メンバーであれば、代わりのメンバーがきかないので、「労働者」でないということになりそうです(それでも、同じ衣装を強制され、プロデューサーの指揮命令のもと動くこと等を考慮すると、多少の労働者性はあるような気がします)。一方、今回被害を受けた川栄さん、入山さんの場合は、主要メンバーと比較して、そこまで代替性がないとは言えないでしょうから(ファンの方すみません)、「労働者」とされる可能性が高いと思われます。

結論として、同じAKBグループのメンバーでも、トップクラスと下位クラスとでは、適用される法律や保険適用が異なるということになります。なお、労災認定については、所轄の労働基準監督署長が決定することになっており、個々のケースに則して総合的に判断されます。今回のケースでは幸いにも命に別状はなく、また障害が残るようなものではないとの事なので、任意の傷害保険には加入されているでしょうし、労災認定の申請はされないものと推測します。

川崎事務所 都筑正之

 

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。