通勤途中での自転車事故

 最近、自転車運転者の運転マナーの悪さや、自転車による交通事故が社会問題化しています。自転車通勤中の事故により負傷した場合、(通勤中のケガだから労災保険が使えて治療費はかからない)と思うかもしれません。確かに、”本人“の治療費は労災保険から給付を受けることができます。しかし、その負傷の原因に同じ通勤中の相手がいた場合は【第三者行為災害】という労災保険の特殊なケースとなり、その相手の治療費はたとえ労災保険から相手に支払われたとしても、その後その相手のケガの原因である”本人“に労災保険から請求されるケースもあるのです。

◆第三者行為災害とは
 労災保険の保険給付の原因である災害が、相手がいることによって生じたものである場合、その保険給付にかかった費用は、国が負担すべきものではなく、相手方が費用負担義務を負うことをいいます。

こんな事例がありました。
 Aさんが通勤途中、コンビニ脇の通用路から道路に出たところ、右方向から直進してきた同じく通勤途中のBさんと接触しました。Aさんは転倒による打撲、Bさんはスピードが出ていたことで骨折となりました。Aさん、Bさんともに労災保険から治療費の給付を受け、お互い自分の治療に対する負担はありませんでしたが、後日労働基準監督署からAさんへ、Bさんの治療費請求がきたのです。(請求額は過失割合を考慮した上で、Bさんの治療費からAさんの治療費を除いた額)Bさんは手術、入院を要したので治療費は高額になっており、100万円を超える請求額でした。

 Aさんが会社の従業員だったと考えてみてください。上記のケースでは国からの請求がAさんに来る形となりましたが、相手によっては民事訴訟になるケースも考えられます。会社が従業員の自転車通勤を認めていた場合、民法715条の使用者責任により、相手方から会社の使用者責任を問われるリスクはゼロではありません。ましてや私用自転車を業務に利用するケースがあった場合は、その利用中に発生した交通事故に関して確実に会社の使用者責任が問われることとなります。会社として自転車通勤を認める際は、
・自転車通勤を許可制にする。
・保険加入を義務化する。
・安全講習受講を義務化する
など規定をしっかりと整備しリスクに備えることが必要です。

コンパッソ社会保険労務士法人 重森


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