精神疾患による労災あれこれ

〇精神疾患による労災申請件数の業種別トップは福祉・介護事業
 厚生労働省の集計によると、2016年度の精神疾患の労災請求件数は1,586件、支給決定件数(労災認定数)は498件で、ともに過去最多となりました。ここ5年でみても高止まりの状況が続いています。
 このうち、業種別の中分類で、介護を含む「社会保険・社会福祉・介護事業」の精神疾患の労災申請は、2014年度の140人が2016年度には167人となり、3年連続して業種別のトップになっております。ここ5年の増加率も上記中分類の全業種平均を大きく上回っています。

〇精神疾患による労災認定件数の業種別トップも福祉・介護事業
 業種別の認定件数では、2016年度は「社会保険・社会福祉・介護事業」が46人でトップ、「医療業」が32人で2位でした。さらに「総合工事業」が27名で3位、「道路貨物運送業」・「飲食業」が26名で同率4位でした。

〇ちなみに精神疾患の労災認定の基準とは
 精神疾患の労災は、労災認定基準に基づいて仕事の負荷との因果関係を判断します。長時間残業や仕事の内容・量の大きな変化、長期の連続勤務、パワハラやセクハラなどがあった場合などにストレスの程度を評価し、仕事に関連した強いストレスが精神疾患の原因であれば認定されます。

〇労災事故対策の見直しが急務
 労災申請と認定の時期は年度がずれるケースもあり、2017年度の認定はさらに増える可能性があります。
 厚生労働省は個別の事例は公表していませんが、今回の結果は、慢性的な人手不足が続く医療・福祉業・建設業・運送業の長時間残業や不規則な交代制勤務など、深刻な事情を反映しているものと考えられ、これまでは腰痛予防対策や安全第一・安全運転励行などの労働環境の安全衛生施策を中心にしてきた医療・介護や建設・運送分野での労災対策は、精神疾患予防という新たな観点を加えた早急な見直しが迫られることになりそうです。

コンパッソ社会保険労務士法人 田中 穣


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