社会保険に加入しなくても良い役員の判断基準

 社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)は国の公的な制度で、要件に該当すれば必ず加入しなければなりません。
労働者(従業員)の場合、フルタイムで働く正社員はもちろん、パートタイマーであっても正社員の労働時間に比べて4分の3以上勤務する人であれば加入対象となります。
 一般的に正社員は月に20日程、週に40時間勤務しますから、その4分の3というと、月に15日以上、週に30時間以上勤務されるパートタイマーが対象となります。
 
 ところで、役員(経営者)は雇われているわけではないので、労働時間という概念がありません。そのため役員は原則として全員社会保険の対象とされることになっています。
 しかし一方で、主に中小企業では名前だけ役員として登記されているような名目上の役員がいることも事実です。このような人まで社会保険の加入対象とする(逆に言えば社会保険の恩恵を受ける)のは公平性に欠けるため、非常勤役員であれば社会保険の対象になりません
 
 では、どのような人が非常勤役員と言えるのでしょうか。
 実は、社会保険の適用において非常勤役員の明確な基準はありません。実態が非常勤として不自然ではないか、が目安となります。
 
一般的には次の基準で判断されています。
 ①会社の業務執行権を有しているかどうか
 ②役員会への出席の頻度
 ③役員報酬の額が妥当かどうか
 
 特に③の役員報酬の妥当性は大きな判断材料になります。と言うのも①②は外形上確認が難しいため、事実上会社側の自己申告となります。しかし③は賃金台帳(給与明細等)を見れば一目瞭然です。
 例えば代表取締役の報酬が月額50万円なのに対し、業務執行権もない、役員会にも参加しない非常勤役員とされている人の報酬も50万円だった場合、不自然です。
 では40万円ならどうなのか、半分の25万円なら良いのか、ということになりますが、前述の様に明確な判断基準はありません。昨今の年金事務所による社会保険の適用促進を考慮すると、ある程度大幅な差が必要であるように感じます。
 
 なお、代表取締役は当然①②を満たしていると考えられるため、いかに報酬が少なかろうと(無報酬でない限り)社会保険の加入対象となります。

コンパッソ社会保険労務士法人 横尾健司

 

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