改正 育児介護休業法における企業の対応 その2

今回と次回で、制度の各ポイントをご紹介します。

子育て中の短時間勤務制度の義務化
改正前は、3歳未満の子を養育する労働者が希望した場合の措置として、短時間勤務制度、残業免除制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度、事業所内保育施設の設置などのうち、どれか1つを導入することが企業に義務づけられていました。
しかし、今回の改正により、3歳未満の子を養育する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けることが義務づけられました。つまり、これまでは必ずしも短時間勤務制度を導入する義務はなかったのですが、今後は必ず短時間勤務制度を設けなければならなくなりました。

この短時間勤務制度とは、1日の労働時間を原則として6時間とする措置をいいます。この6時間勤務の措置を設けてさえいれば、ほかに1日7時間や5時間とするいくつかの短時間勤務コースを設けることもできます。
また、短時間勤務制度は3歳未満の子を養育していれば原則としてすべての労働者が対象となります。男女問わず、またパート・アルバイトであっても利用することができます。
ただし、次の労働者は対象になりません。

実務上、問題となりやすいのは4です。1から3の者については、一般常識的に考えても短時間勤務制度には馴染まないので、そもそも対象外とされていますが、4の者については短時間勤務を希望する可能性があるうえに、対象外とするには労使協定を締結していなければなりません。
労使協定とは、会社(使用者)と従業員代表者との間で結ぶ約束事を書面化したもので、この手続きがなされていないと、入社したその日からでも短時間勤務制度の対象者となり、会社はこれを拒むことができません。
また、実際の運用にあたっては、労働者が短時間勤務制度を希望する際の申出書の用意など手続き面での準備を行うとともに、労働時間が短縮されたことによる労働力の減少を企業でどのように補っていくかなどを事前に考えておく必要があります。

子育て中の所定外労働(残業)の免除の義務化
今回の改正により、3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働(残業)させてはいけないことになりました。

改正前は、小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1ヶ月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせてはならないとされていました。
逆を言えば、これまではある程度の残業は認められていました。しかし、この度の改正で、3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合は、全く残業をさせてはいけないこととなりました。
3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合は、これまで通り制限内での残業が認められます。

また、すでに説明した短時間勤務制度とは違い、「事業の正常な運営を妨げる場合を除き」という条件があります。つまり、事業の正常な運営が妨げられる場合は残業をさせてもよいということですが、この「正常な運営を妨げる」に該当するか否かは、その労働者の担当する作業内容や作業の繁閑、代替要員の配置の難易度等を総合的に考慮して客観的に判断すべきものです。
よって、単に「忙しいから」といった理由で残業させることはできないことに留意して下さい。
この規定も原則としてすべての労働者が対象となりますが、次の者は除外されています。

短時間勤務制度の対象除外者と同様、労使協定を締結しなければ除外できない者がいるので注意が必要です。
運用上の注意点も短時間勤務制度と同様ですが、突発的な業務集中による労働力不足については、残業させられないとなると現場の混乱も起こりますので、特に事前に対策を練っておく必要があります。

次回に続きます。

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コンパッソ社会保険労務士法人 特定社会保険労務士 横尾健司

 

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