年次有給休暇の基礎知識 その2

前回に続き、「年次有給休暇(年休)」の基礎知識です。今回は、一般的にはあまり知られていない部分についてご紹介したいと思います。

年休の有効期間
年休の有効期間は2年です。発生後2年以内に使用しないと権利が消滅してしまいます。逆に言うと、2年間は使わずに取っておくこともできます。
入社後6カ月経過で10日の年休が発生し、これを使わずに1年が経過すると今度は11日付与され、この人の年休は合計で21日となります。さらに年休を使わずに1年が経過すると(つまり入社後2年半)、今度は12日付与されます。合計で33日になるかと思いきや、最初に付与された10日はこの時点で付与日から2年が経過しているので消滅してしまいます。よってこの場合は11日+12日=23日ということになります。

年休の使用理由は自由
年休が取りづらい日本の社会風土や職場への配慮もあってか、年休を使用する際には「病院へ行くため」や「子供の行事参加のため」などの理由が用いられていることが多いように感じます。しかし、年休は「心身をリフレッシュさせるために自由に使える休暇」なのですから、使用理由に制限はありません。
入社からわずか半年の新人社員が年休発生と同時に「休日は混むので、平日に彼女とディズニーランドに行きたい」との理由で年休を使用しようとすると、周りから「ふざけるな!」と声が飛んできそうですが、法的には問題ありません。また、「なんだか気分が乗らないから」でもいいのです。むしろ、リフレッシュという意味では年休の法的趣旨に合致していると言えます。
ただ、周囲からの反感を避けるためにも、一応、当たり障りのない理由をつけておくことが望ましいでしょう。

パート・アルバイトの年休
あまり知られていませんが、実はパートやアルバイトであっても年休は発生します。
ただし、正社員と同様というわけではなく、その人の所定労働日数に応じて、発生する年休の日数も異なります(比例付与と言います)。
具体的には次の表のようになっています。

例えば、1日4時間・週に4日勤務のパートさんの場合、入社後6カ月で年休が7日付与されます。
注意して頂きたいのは、同じ週4勤務のパートさんであっても、1日に8時時間働くと、週合計で32時間になりますから、最上段の日数(入社後6カ月で10日付与)が適用されるということです。
また、表をみて分かる通り、例え週に1日しか勤務しない人であっても年休は付与されるのです。

年休は「労働日」にしか使用できない
前回説明した通り、年休は、労働者に賃金を得させながら就労の義務から解放することを趣旨としています。つまり、年休を使用するには、本来は働いて賃金を得る日(=労働日)であることが前提となっています。よって、休日には年休は使用できません
一般的な会社であれば土・日・祝日が休みですが、このような“もともと休み”の日には、そもそも就労の義務がなく、賃金が発生するわけでもないからです。
同様に、使用者の権利である時季変更権も休日を指定することはできません。「別の労働日に年休を使って下さい」とは言えますが、「休日に年休を使って下さい」とは言えないのです。

以上、今回はあまり知られていない部分について触れてみました。「そうなんだ」と初めて知ることも多かったのではないでしょうか。
次回は、会社側から寄せられる質問の中から、年休をめぐる諸問題について取り上げます。

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コンパッソ社会保険労務士法人 特定社会保険労務士 横尾健司

 

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