年次有給休暇の基礎知識 その1

皆さんは「年次有給休暇」についてどの程度ご存知でしょうか?
昨今、労働問題についても度々ニュースで取り上げられるようになり、「年次有給休暇」は労働者の権利なんだ、という認識が徐々に定着してきたように思いますが、中にはいまだに「うちの会社には「年次有給休暇」なんて制度ないよ」という方もいます。

社会人の皆さんは、一度は「年次有給休暇」を利用したことがあるかと思いますが、一体、いつ・どんなときに・どのくらい使えるのか? また、会社の社長は労働者に対してどのくらい与える必要があるのか?拒否はできるのか?など、意外にキチンと知られていない部分も多いようです。

弊社に寄せられる質問の中でも、よく「年次有給休暇」以下、年休という)について聞かれることが多いので、これから3回に渡って書かせて頂きます。

年休は賃金が発生する休暇
年休はただ休むことができるのではなく、賃金が発生する休暇です。本来、賃金は労働に対して支払われるものですから、休んだら賃金もない(ノーワーク・ノーペイ)というのが原則です。
しかしこれは、見方を変えれば、労働者はお金を買うために自らの労働力を売り続けなければならないということです。どんなに辛く苦しくても、生活のためには働かなくてはなりません。
それではあまりに酷なので、一定要件のもとに労働者に賃金を得させながら就労の義務から解放することで、金銭的・時間的余裕を保障しようとしたのです。
よって、年休は「労働者が休業による賃金カットのリスクを負うことなく、心身をリフレッシュさせるために自由に取ることができる休暇」と言うことができます。

年休の発生要件
発生要件は、労働基準法第39条で定められていますが、簡単に説明すると、“入社後6カ月が経過し、その期間に8割以上出勤”した場合に、使用者は労働者に対して10日の年休を付与しなければならないことになっています。その後、1年を経過する毎に、以下のように年休の付与日数は増えていきます。

例えば、4月1日に入社した人は、9月30日までの期間に全労働日の8割以上出勤した場合に、10日の年休が発生します。その後は1年毎になりますから、10月1日から翌年の9月30日までに8割以上出勤していれば、今度は11日の年休が発生するわけです。
なお、労働基準法は「最低条件」を定めているので、これを上回るような取り扱いは問題ありません。入社後6カ月で15日付与してもいいですし、出勤率を6割以上としても構いません。

年休という“権利”
年休は上記の要件を満たせば、法律上当然に発生します。つまり労働者が「欲しい」と言わなくても、また、使用者が「付与する」と言わなくても、発生要件さえ満たしていれば、当然に労働者に与えられる権利です。
そして労働者が実際に年休を使用するときは、使用者に対して「○月○日に年休を使用します」と伝えて権利を行使するわけです。
これに対し使用者には時季変更権が与えられています。これは、労働者に休まれてしまうと事業の正常な運営が妨げられてしまう場合に「他の日に年休を使用してください」と言うことができる権利です。あくまで日にちを変えてもらうことができる権利であって、使用自体を拒否することができるわけではありません

以上、年休は労働者に認められた法的な権利なんだ、ということが分かったと思います。次回は年休のあまり知られていない部分について書きたいと思います。

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コンパッソ社会保険労務士法人 特定社会保険労務士 横尾健司

 

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