住宅手当・住宅貸与にかかる労働保険料・社会保険料

 社員の家賃負担軽減を目的として、住宅手当の支給や借り上げ社宅制度を導入している会社は多くあります。しかし、どちらの制度を導入するかによって、労働保険料・社会保険料の計算に大きな違いがありますので、メリットとデメリットを含めてご紹介致します。
 
 まず住宅手当などの名称で支払う場合は、その全額が賃金になりますので、労働保険料・社会保険料の計算対象になります。しかし、社員自身が自由に物件を選んで住むことができますので、安い物件を選ぶことも出来ますし、少し背伸びして良い部屋を選ぶことも出来ます。目的に合った物件を探しさえすれば本人にとっては得になると言える部分があります。また会社としても社宅の管理や契約などの手間がかからないことがメリットと言えます。
 
 これに比べて住宅貸与の場合には会社が社宅の管理や契約者となりますので、その手間がかかります。また本人にとっても好きな部屋を自由に選ぶことが出来ないことなどがデメリットと言えますが、労働保険料と社会保険料の計算対象にならないというメリットがあります。ただし全てが計算対象にならない訳ではなく以下のような条件が必要です。
 
 労働保険料の計算では、会社が支払う賃金に対して労働保険料率をかけて保険料を算出します。そのため「賃金」に該当するかどうかがポイントになります。
 「賃金」に該当するかどうかは、住宅を貸与されていない労働者に対して「均衡手当」が支給されているかどうかで決まります。
 均衡手当とは、住宅を貸与されている労働者との均衡上支給される手当のことをいいます。この均衡手当が支給されていれば一定額が賃金とされる場合がありますが、均衡手当が支給されていなければ賃金には該当しませんので、労働保険料の計算対象にはなりません。
 
 社会保険料の計算では、会社が支払う報酬(賃金と同義)をもとに標準報酬月額を決め、それに対して保険料率をかけて保険料を算出します。そのため報酬に該当するかどうかがポイントになるのですが、こちらは均衡手当の有無に関わらず原則として報酬とされます。ただし住宅にかかった費用の全てが報酬とされるのではなく、都道府県ごとに定められた「1畳当たりの住宅の利益の額」をもとに算出した標準価額(※)と、賃貸料を給与から控除しているかどうかで報酬とされる金額が決まります
 

※ 標準価額の算出方法
東京の標準価額は畳一畳につき2,590円、神奈川の標準価額は2,070円です。
例えば東京では、居住部分が10畳なら、2,590円×10畳=25,900円が標準価額となります。
 
 以上のようにいずれにもメリットとデメリットがありますが、保険料負担という視点からのみ見るとメリットが大きいのは住宅貸与ですので、同じ金額を会社が負担するのであれば住宅貸与を検討されてはいかがでしょう。
 

コンパッソ社会保険労務士法人 西山


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