中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金の適用とその対策について

国会で労働基準法を改正する動きがありましたが、今回はその内容をもとに恐らく平成29年4月より施行される予定の「中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金の適用」とその対策についてまとめてみました。

改正内容と適用時期
平成22年4月1日より施行された規定では1か月の時間外労働が60時間を超える場合、通常の2割5分以上の割増賃金ではなく、5割以上の割増賃金を支払うこととなっています。しかしこの規定は、一定の大企業に対してのみ適用され、中小企業では猶予されていました。その猶予が平成29年4月の改正で終了する予定となっており、中小企業であっても50%以上の割増賃金率が適用されるようになります。
ただし、猶予終了後すぐに中小企業への適用が行われるわけではないので注意が必要です。というのも、中小企業の実務への影響が大きいということもあり、猶予終了と同時の平成29年4月からの適用とはならず、平成31年4月施行の予定となっています。

改正の影響
この改正によって、月60時間を超えて残業をしている従業員を数多く抱えている企業の場合、割増分の人件費が一気にのしかかることになります。改正によって中小企業が受ける影響は小さくはありません。現在と同じ人件費の金額を維持するためには、現在の業務の進め方を見なおしてみる必要があると思います(幸いにも平成31年4月までは時間があります)。

対策のための一提案
業務のムダを省き、生産性の向上につなげるために役立つ具体的対策のひとつとして、リモートワークを推奨してみるのも良いかと思います。リモートワークとは、会社に所属していながら、オフィス以外の場所(自宅とは限らず、カフェでもどこでも)で仕事を進めることを言います。

メリットとしては、直接的なコストカットの面と、間接的に人件費削減につながるという面、が挙げられます。
都市部の企業に勤める多くの会社員は1日に平均1.5~2時間を通勤に費やすということですが、リモートワークの魅力は作業場所を選ばないことです。会社は交通費や家賃手当などの支給が不要となり直接コストカットを実現できます。
さらに、社会保険料の会社負担分も大きく減ることとなります。人数が増える程年間コストカット額は大きくなり、会社としては大きなメリットとなります。

また、作業依頼は基本的にメール、チャット等で全て文字化されるため、形として残り、依頼対応漏れの可能性が減ります。さらに、その内容もデスクで口頭依頼をする際よりも明確な内容である事が求められます。期限ギリギリに作業に取り掛かっていないことが判明し残業して仕上げるということや、指示の伝達がうまくいかなかったために修正に大量の時間を費やすということが大きく減り、生産性向上により間接的に人件費を削減することができます。

多くの人がパソコンやスマートフォン、タブレットを持ち歩く時代、これらを活用することが改正労働基準法の対策として重要な鍵となるのではないかと思います。場所を選ばすどこにいても仕事を進められる環境を築くこと(これはこれで容易ではないことですが)が、生産性向上および人件費削減に役立つのではないかと考えます。

出典:厚生労働省HP
    まもりの種HP

東京練馬事務所 薄井大宜