ハローワークのウソ求人

「求人票に書かれていた内容と実際の労働条件が全く違う」・・・最近こんな事態が急速に増加しています。
昨年4月、都内のとある会社の新入社員A氏が夜勤明けの帰宅途中、交通事故にあって死亡しました。約17時間における長時間の労働の末の事故でした。
この会社の求人票には夜勤の記載自体がなく、入社後の労働環境はそこに書かれていた条件とはかけ離れたものでした。しかし正社員として働くことを希望していたA氏は、該当の会社に入社し、そこでこの事故にあい、帰らぬ人となったのです。遺族は昨年一月、職業安定法に違反するとして1億円余りの損害賠償を請求、この会社を告訴しました。
なぜ、こんな事態が起きてしまったのでしょうか。

実際とは異なる条件を提示した求人票はその条件を信じて応募した労働者にも、会社にも不幸な問題をもたらしているのです。では虚偽の求人票を出すことに法的な問題はないのでしょうか。

Q.求人誌を見て就職しましたが、求人誌に書いてあった給料や勤務時間などの条件と実際の条件が違っていました。これは労働基準法違反ではないのですか?

A.労働基準法第15条には、労働条件の明示が定められていますが、この条文で言う労働条件の明示とは労働者個々人に対して書面で明示される労働条件のことです。つまり、求人誌やハローワークに掲載されている求人票はあくまでも募集の際に提示する労働条件の目安であり、労働基準法第15条で定める労働条件の明示には該当しません。なお、ハローワークに掲載されている求人票の条件と実際の条件が異なる場合は、まずはハローワークにご相談ください。

厚生労働省は現在、こんな見解を出しています。つまり、求人票に書かれている条件は飽くまで目安であり、現在のところ罰則規定はないのです。また、民間の求人サイトでは虚偽記載はそのサイトの信用問題となり、そのサイト管理者により対策がなされますが、ハローワークにはそのような自浄作用がない為、ウソ求人が野放しになりやすいようです。

しかし、そんな状況にも変化が起きています。厚生労働省の有識者検討会が虚偽の求人を出した企業及び経営者に対して罰則を設けるべきとの報告書を提出しました。今秋以降の労働政策審議会で協議され、職業安定法の改正が行われる見込みです。
 
結局のところ、そんなウソ求人を出さざるをえないのは、実際の労働条件を明示してしまえば応募者がいなくなってしまう現実なのでしょう。過酷な労働条件のもとで労働者を酷使せざるえない会社の経営状況など様々な問題がそんな事態を引き起こしているのです。しかし人材募集の為にウソ求人を出しても、最終的には会社自体の信用も落ち、従業員との関係も悪くなっていくだけです。
労働者とお互いに納得できる条件の下で働いてもらえるよう会社の経営状況を改善していき、トラブルを未然に防いでいくことが有能な人材募集の為にも必要になってくるのではないでしょうか。

出典:厚生労働省HP
    弁護士ドットコム

千葉旭事務所 小関咲子

 

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