親子間での事業承継のトラブル回避

 同族会社の事業承継について現在では社員に承継する内部昇格や第三者に代表権を譲る外部招聘が増加していますが、それでも親子・親族で承継したいと思う経営者の方は多いと思います。
 通常事業承継には3年から10年の準備期間が必要と言われますが、後継者の教育に経営者がそれほどの期間をかけることは難しいと思われます。承継する後継者側も業務との兼ね合いから最優先の問題とは認識していない場合も多いのが現状です。

 一般的には後継者が五十代になると事業承継をより強く意識するようになることが多いようですが、まずは後継者が四十代になった時が事業承継を考える第一のタイミングと言えます。事業承継を四十代のうちに完了したほうが、後継者の意にかなった事業承継が実現する可能性が高いからです。

 お子さんが複数いる場合は、どのお子さんに継がせるかをなるべく早く決定することです。いくら先代の命を受けた後継者だとしても、従業員からの信頼がなければうまくいきません。不十分だと感じられた場合は、後継者を選定しなおすことにも必要になります。

 後継者とのコミュニケーションも必要不可欠です。幼い頃から事業に触れることが出来れば、自然と承継の意思が高まりますが、なかなかそうはうまくいきません。子供だから継がせたいという経営者の気持ちだけでなく、後継者自身が意欲を持って承継出来るよう促すことが必要です。後継者と仕事についての話をすることが事業承継に大きな効果を与えるはずです。

 また、忘れてはならないのが後継者の告知の前に財産について話し合うことです。親子間の事業承継には財産相続の要素も併せ持っています。後継者以外の相続人に対しての十分な配慮がなければ、相続争いから事業承継に支障をきたすこともあり得ます。悪くすれば事業を傾かせる要素にもなりかねません。それを避けるためにも事業承継のスタート段階で事業関連の財産を明らかにし、親族会議などではっきりとさせる必要があります。

 そして親族や他の相続人に承継について告知した後は、幹部社員への告知となります。けっして決定事項の報告だけで終わらせてはいけません。その幹部社員は残留なのか勇退なのか、新体制となる会社の方針から、経営者と後継者の慎重な検討の下に決定しなければなりません。古参の幹部社員は事業に深く関わっている半面、人件費も高く、後継者のもとで活躍してもらえなければ事業効率を上げるための足かせにもなりかねません。新たな人材を中心に次世代幹部を指名することも可能ですが、現経営者のもとでの功労者である彼らに関しては、最後まで勤められるよう配慮したほうが良い結果に結びつくことが多いようです。
 次期幹部社員と考えている人材について、後継者が現幹部社員に相談してみるのも、信頼関係を深める一つの方法となります。

 以上を踏まえて事業承継が無事に完了したとしても、後継者が困難にぶつかって必要を感じた際には相談に乗り、会社から少し離れたところから後継者を支えて行くことは、元経営者にしかできないことなのは言うまでもありません。

 お困りの際には、コンパッソ税理士法人までご相談下さい。

参考図書:「たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法」幻冬社 浅野 佳史

東京練馬事務所 菅原 明子

この記事について評価にご協力ください
  •  参考になった 
  •  わかりにくかった 
  •  全く参考にならなかった 
  •  探していた記事と違った 

関連記事

■事業承継における遺留分問題について