
基準地価、地価公示価額による不動産市場の推移
先般、基準地価が発表されました。基準地価とは、都道府県の調査による7月1日現在の標準的な不動産取引の評価です。
また、2014年の3月には地価公示価額も発表されています。この地価公示価額とは、国土交通省の調査による1月1日現在の標準的な不動産取引の評価です。
これらの地価傾向を全体的に捉えるためには、地価公示価額変動率の推移グラフがとても参考になります。
このグラフによりますと、過去2回の地価高騰の時期が確認できます。
一つは、あの日本中が好景気に沸いた平成バブルの時期(昭和63年~平成2年頃)、そしてもう一つは、小泉政権時代に一瞬ですが沸き上がったファンドバブルの時期(平成17年頃)です。
平成バブルは、不動産融資の総量規制がきっかけとなり崩壊し、ファンドバブルは、サブプライムローン問題やリーマンショックがきっかけとなり崩壊し、いずれもその後の日本経済に大きな影響を与えることとなりました。そして今、アベノミクスの効果や東京オリンピック開催決定による景気回復期待により、都心部の一部においては、地価も上昇傾向にあるようです。
ただし、日本全体や都心部以外の地方においては、まだ地価下落は続いています。地価は下がってはいるものの、一時よりは下げ幅が少なくなってきたというのが実態のようです。
さて、これからの地価動向は、いったいどうなるのか?とても気になるところだと思います。
あまり上がり過ぎても良くないし、かといって、下がり続けるのも良くありません。マクロ的に考えると、一説には、2020年の東京オリンピックまでは、少しずつ回復していくだろうとの見方があります。これは、北京オリンピックやロンドンオリンピックでも、同様の傾向があったためです。
今後も地価は、日本の経済成長率等に比例した、緩やかな上昇傾向が最も望ましいのでしょうけれども、そんな希望通りに進まないのが今の経済情勢です。もう一つは、ミクロ的に考えると「不動産の価額は、需要と供給のバランスで決定する」という大原則です。
一つの物件に買いたいと思う買主が多くいれば、その物件の価額は上がります。逆に、買いたいと思う買主がいなければ、その物件の価額は、買いたいという人が表れるまで下げなければ売れません。要は、需要と供給のバランスです。この観点で考察すると、地価の傾向は「人口動態」が一つのキーワードになります。なお、人口動態については、添付の人口動態調査のグラフが参考になります。
このグラフを見ると、日本全体では、人口は減少し、少子高齢化が進むという予測が出ています。
更に、地域別で見てみると、東京や大阪などの都心部では、人口は増加傾向にあり、逆に、地方では、人口は減少傾向にあるようです。
例えば都心部周辺の、人口が増加している地域や人気のある地域は、供給よりも需要が多くなるため、地価上昇の可能性は高くなります。
逆に、人口が減少している地域においては、供給よりも需要が少ないので、地価は下落する可能性が高くなります。ただし、日本全体では、人口は減少する傾向にありますので、以前のバブルの時期ようなイケイケの上昇はかなり困難な期待のようです。
今後の地価動向については、いろいろな説があるようですが、「人口動態により、日本全体では長期的に下落傾向であるが、地域によって上昇と下落の二極化が進行する」という説が有力視されているようです。
とはいえ、少なくとも東京オリンピックまでは、このまま景気回復して、地価も緩やかに回復して欲しいというのが一般庶民の希望なのではないでしょうか。ぜひ今後の地価動向にも注目していきたいです。
出典:国土交通省HP
厚生労働省HP(P6 人口ピラミッド)