金融機関と良好な関係を築くために

高橋しん氏の漫画「いいひと。」をご存知でしょうか。1990年代にビックコミックスピリッツに連載された漫画で、私は単行本を全巻持っています。22巻に次のようなシーンがあります。大手スポーツ用品メーカーを退職した女性がコンサルティングの会社を立ち上げたものの、資金繰りに苦労して、銀行に電話をします。

(電話での応対)
  あ、いえ
  あの、これ以上の借り入れが厳しいことは重々承知していますが・・・
  と、とにかく明日お伺いして今期の事業計画をご説明・・・
  はい、はい、
  はい、よろしくお願いします。すいませ・・・ (相手から電話を切られる)
 
  くっそー
  たかが銀行員のくせになんでそんなに偉そうなんだよー
  てめーが金貸すんじゃねーだろ。バカヤロー

およそ20年前の漫画ですが、今日のビジネスコミックと言っても違和感なさそうです。きっと時代に関係なく普遍的なやり取りなのでしょう。

現実の金融機関の担当者様は決して偉そうではないと思いますが、対応が厳しいと感じる経営者様もいらっしゃるのではないでしょうか? 必要のないときは「借りてください」と来るのに、必要になった時には渋られてしまう…、とのお嘆きも聞きます。川越事務所では飲食店を開業したい方の融資サポートを多く手掛けており、金融機関の担当者様との面接に同席します。面接の際にもやはり「厳しい対応」を感じます。

面接に先立ち、一緒に事業計画書を作成します。経営の予測を数字で徹底的に裏付けします。売上高を曜日別に、ランチ、ティータイム、ディナーそれぞれで、席数×客席稼働率×回転数×客単価で算出するのはもちろんのこと、何時に何人来店して、何分で帰るという表を作り、実現性が高いことを示します。「いくらなんでも・・・」と思うほどの空席だらけの営業予測でも、生活費と返済原資はしっかり確保できる計画を立てるのです。

そこまで準備して面接に臨んでも、回転数に無理があるのではないか、店内飲食と持ち帰り客を捌ける動線か、集客手段・販売促進はどのように行うのか、開店予定の地域は景気低迷から抜け出せていないと思うが・・・という質問が、金融機関の担当者様から次から次へと投げかけられます。

金融機関の対応が厳しく感じられる理由は、銀行のビジネスモデルが「投資」ではなく、「融資」であるためです。投資の特徴は、成功すれば、莫大な配当を受け取れるものの、失敗したら元本も保証されず、最悪ゼロになるというものです。一方、融資は成功しても金利以上のものは受け取りませんが、失敗した場合でも、元本まで失うわけにはいかないのです。金利は当然受け取り、最悪担保を処分、保証人に請求してでも元本を回収します。「おおむね1年間で貸し倒れになる確率1%以内」でようやく収支がトントンになるそうです。事業が99%以上の確率で成功することを納得いただき、返済期間中は事業の状況を欠かさず報告し続ければ、良いおつきあいができるでしょう。

自計化ソフトウェアのFX2、e21マイスターに決算業績報告シートという新たな帳票の印刷機能が追加されました。三期比較など金融機関が知りたい情報はすべて網羅したうえで、経営者様が金融機関様に説明しやすいようコンパクトにまとめられています。川越事務所は、飲食店様に飲食業専用の試算表も提供します。定期的な報告にご活用いただき、金融機関と良好な関係を築いてください。

出典:小学館「いいひと。22巻」高橋 しん著
     エヌピー通信社「納税通信 第3380号8ページ「銀行とのつきあい方」」

川越事務所 石川幸恵

 

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