移動年計グラフの活用

冬の年末セールや決算セールによって普段の月に比べ売上がよくなっている企業も多いことでしょう。但し、このようなセールによって前月より売上が上がっていたとしても、必ずしも中長期的に見たら全体的には売上が上がっているとは限りません。それは単に前月との比較だけでは、繁忙期や閑散期等の季節変動、その月の日数の違い等の影響により売上の傾向が掴めないからです。

このような場合に「移動年計グラフ」を使うことで、月々の変動に影響されずに企業の業績や傾向を把握することができます。
移動年計とは、「その月の売上に過去11ヵ月分の売上を加算した直近1年分の合計額」をいい、それをグラフ化したものが移動年計グラフです。直近1年分の売上が増加傾向であればこのグラフは右肩上がりになり、業績が良くなってきている証です。逆に売上が減少傾向であれば右肩下がりになり、グラフを通じて対策を行うきっかけになります。

それでは、販売業を例とし月々の売上高の推移グラフと移動年計グラフとで、どのような差があるか比較をしてみましょう。前提条件として、年末の12月と決算月(今回は例として3月)はセールがあり売上は高く、逆にそのあとの1月2月、及び4月の売上は通常月に比べて低くなっているとします。

まず、月々の売上高を年ごとに表した月次推移グラフがこちらです。

このように月々の売上を前年同月との比較は行えますが、月によって変動が大きいため中長期的な売上の傾向はハッキリと分かりません。

次に、この月次推移の売上を移動年計にしたグラフがこちらです。

いかがでしょうか?
一見、毎年同じように見える月次推移を移動年計にすることで売上の傾向が明らかになってきます。移動年計グラフにすると傾向として右肩下がりになっています。このことから、この企業の売上は徐々に悪くなっていることが見受けられ、売上減少の原因を検証し対策をとる必要があるでしょう。

他にも全体の売上だけではなく、店舗ごと、商品ごとに移動年計グラフを作ることで経営判断のツールになります。
移動年計は売上だけでなく人件費・経常経費・経常利益等の様々な項目で使うこともできます。また、自社の移動年計グラフを同業種の移動年計グラフと比較してみたり、業種によっては内閣府の公表している景気動向指数と比較することもよいでしょう。

まずは決算期等の区切りのよいタイミングで移動年計グラフを作ってみるのはいかがでしょうか? 今一度、自社の景気を振り返ってみてください。

横浜青葉事務所 田中聡祐

  

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