商取引における意思確認の重要性~ある裁判での争点~

 忙しい経営者の皆さんは、書類の記入や押印を家族や社員の方につい任せてしまうというケースもあると思います。しかし、契約書や重要書類について、本人が確認を怠り、その効力について裁判で争われるケースもあります。
今回は、過去傍聴した裁判を例にして、意思確認の重要性についてお話します。

 司法書士が得意先である原告から電話で依頼された不動産の登記を請け負ったものの、誤った内容の契約に基づく登記を行い、原告がその取り消しを求めた裁判です。
電話で代理人を遣わす旨を伝えられ、代理人が捺印等を行ったことも事件の特徴です。
以下に裁判の概要、争点、防止策としてまとめます。

<裁判の概要>
・司法書士は原告から依頼を受け、通常は登記に際して、委任状を交わして取引を成立させるところ、特に交わさなかった。
・相手先から「○○という代理人に、契約書に押印させてほしい」という旨を伝えられた。
・司法書士は、原告から電話で言われた通りに実行したところ、代理人に何らかの問題があり、結果として極端に少ない金額での売買契約をもとに登記を行ってしまい、問題となった。
・(金額などが常識的な範囲を外れて低いものだったことから回避できたのではないかとの指摘も裁判の中であったが、被告によれば)原告から多数の案件を一括して請け負っていたため、個々の内容について着目せず、気づかなかった。

<争点>
本件不動産譲渡の内容につき、原告の意思を確認した上で登記が行われたといえるか否か。

<防止策>
(1)契約の当初において取引相手である社長本人から委任状をもらう
(2)個々の契約内容についても細かく社長本人に確認する
(3)個々の契約内容や、一括して受けた全体の契約内容を確認し、お客様から受けた過去の案件や、関連する一般的な案件、その他の諸事情を勘案して不自然な点がないか確認する

 以上の点はどれも当たり前の事だと思われるかもしれません。ただし、ちょっとした確認不足で裁判にまで発展するケースもあるということを忘れないことが重要であると思います。

千葉流山事務所 榊原清華

 


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