口約束だけでも契約成立?

書類も作成せず、署名も押印もせず口約束だけでも契約は成立するのでしょうか。
答えは、口約束だけでも原則契約は成立しています。契約は人が申込みの意思を表示し、相手が承諾の意思を表示するという二つの意思の表示が合致することによって成立します。契約書の作成や契約書への署名・押印は必須ではなく、口頭だけでも契約は成立します。

契約とは
契約とは、法的な拘束力のある約束をいいます。スーパーなどで食品や衣料を買う行為も代金を支払って商品を受け取るという契約になります。法的な拘束力のある約束(契約)は単なる約束とどこが違うのでしょうか。

契約が成立すると当事者は権利を行使できるようになり、相手方はその権利に対応した義務を負うことになります。スーパーで服を買う人は服を手に入れる権利が発生し売る側は服を引き渡す義務が生じます。と同時に、売る側は服の代金を請求できる権利が発生し買う人はその代金を支払う義務が生じます。原則として勝手に契約を止めることはできません。一方が義務を果たさないときは裁判所に訴えることができ、また損害賠償を請求することもできます。契約にこうした法的拘束力が認められるのは、自分で約束したことだからです。人は自分の意志に基づいてのみ拘束されます。これを私的自治の原則といいます。

契約自由の原則
契約にどのような内容を定めるかは、基本的に当事者の自由です。これを契約自由の原則といいます。契約の当事者が相手として誰を選ぶかも自由ですし、さらに、口頭か書面で契約するかなどの契約の方式も自由です。ただし、価格や個数が曖昧で内容が確定できない契約や、そもそも実現の可能性のないような契約は無効となります。
また、賃借期間が満了したら当然に借家から退去しなければならないとする合意など強行規定(公の秩序に関する法規定)に違反する契約も無効とされます。さらに、賭博で負けた者が勝った者にお金を支払う契約など公序良俗に違反するような契約は当然無効となります。

日常における消費者契約
民法は契約自由の原則に基づき、対等な当事者間で結ぶ契約を想定しています。しかし、消費者が事業者との間で結ぶ消費者契約の場合、事業者は豊富な知識を持つのに対し、消費者は予備知識や情報が事業者よりも少ないため、当事者の関係は対等とはいえません。また、消費者は事業者による広告や勧誘によって契約に至ることが多いため、広告や勧誘が適正であることも重要です。そこで消費者契約法特定商取引法割賦販売法によるクーリングオフなど法律によって消費者の利益保護が図られています。

「わかりました」と承諾する前に再チェック
しかし、自分を守るのは自分です。口約束だけでも契約は成立してしまいます。「わかりました」「はい、買います」と言う前に、進められている商品・サービスが本当に必要なものかを再確認し、騙されることの無いよう注意をしましょう。

出典:「2016年版 くらしの豆知識」(独)国民生活センター

東京練馬事務所 寺田知己

  

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