中小企業2030年に消滅?

「日本経済を支える中小企業が「消滅」の危機を迎えるかもしれない。」 今年6月の日本経済新聞に衝撃的な見出しの記事が載った。「経営者の中心年齢は2015年に66歳となり、この20年で19歳上がった。円滑な事業承継や若者の起業が進まなければ 、2030年には経営者の中心年齢が80歳前後に達し、いまの男性の平均寿命とほぼ並ぶ。早く手を打たないと厳しい未来が現実になってしまう。
日本では企業数の99%超、働く人の70%を中小企業が占める。全ての中小企業が消えることはないとしても、経済の土台は間違いなく揺らぐ。
こうした未来を避けるためには、早いうちに世代交代をすることが重要になる。だが若い世代はリスクとリターンの両面で二の足を踏む。経営者の個人保証という慣行が一部に残るうえ、大企業と比べると収益性は低い。
事業承継を待つばかりでなく、若者の起業を促すことも有効な手立てになる。ただ14年度の開業率は4.9%。政府が目指す欧米並みの10%前後は遠い。政府も税制などの面で事業承継や起業をしやすい環境整備に動いているが、中小企業を消滅の危機から救うのは時間との闘いになるであろう。」

こういった記事を目の当たりにして、それを見守っているだけでいいのか。中小企業に多く関わりをもつ税理士にも大きな役割があるはずである。
だが実際に、経営者が事業承継の準備に着手する上では、日本の税制が立ちはだかっている。中小企業では、自社株は社長がそのほとんどを持っているのが通常である。その株を生前に後継者に引き渡そうとすると、とんでもない事態に直面する。中小企業の株の評価は一株あたりの純資産や、同業他社比較で行われるが、経営が順調な会社の株は思いのほか高額になっていることがある。そのため、生前に親族に株式を譲渡しようとしても、株を買い取れるほどのお金がない。贈与すれば多額の贈与税がかかる。かと言って、株を後継者に引き継がぬまま亡くなった場合、株を相続する際に、莫大な相続税が課されることになる。相続税を負担できない親族は、親が築きあげてきた会社を他人に売り渡すしか選択の余地がなくなり、買い取ってくれる会社がいなければ、その会社が培ってきた技術、経営ノウハウは消滅してしまうだろう。

上記のように税負担が大きく二の足を踏む場合もあり、後継者問題というより、日本の税制の問題から承継できないケースも多々発生しているのである。
事業承継対策は社長が引退を考えてからでは遅すぎる。専門家からの働きかけが重要であり、承継対策を行ううえでは、お客様の立場になり考え、20年、30年後の目的を共有することが必要である。
こうした働きかけを続け、経営者が早期に事業の承継に向けた意識をして頂き、顧問の税理士等が、経営者とともに、最適な方法を探していくことが重要である。

出典:2016年6月6日号 日本経済新聞 著

千葉流山事務所 北村 昌樹