中小企業のこれからの道

通常月の2.5倍を占める3月決算法人は、5月末或いは6月末に税務申告期限を迎えます。ところで、国税庁によると前年24年度(24年4月から25年3月まで)の申告法人の黒字申告割合は26%だったそうです。大半の法人は赤字ということになります。
第1次オイルショックの昭和48年当時の黒字申告割合は65.4%であり、それから低下の一途を辿り平成22年度には過去最低の25.2%となってしまっています。それからの2年度間は連続で上昇を示しているところであり、25年度がどこまで回復しているか期待されます。

中小企業は全企業の99.7%を占めていることを考えると、中小企業のほとんどは黒字ではないという実態を現わしています。経済のグローバル化は、大企業の母国からの離陸化現象を引き起こし、日本の高度経済成長の主因となった「大企業体制」下における大企業と、中小企業のパートナー関係いわゆる国内完結型生産体制は崩壊に近い状態になってしまっています。これが、日本経済が低迷している大きな理由ではないでしょうか?

我が国の経済が持続的に発展してゆくために不可欠なことは、日本という地域に根差した地元の中小企業の活動であるということを明確に認識することが必要と考えられます。そのためには、中小企業は大企業の下請けという下位概念から脱皮することが求められていると言えます。既にそれに応えている幾つかの中小企業もあります。

従業員の能力を開花させ、情報発信活動を活発化させる経営哲学や組織運営能力を磨き、企業規模は中小であっても、その経営者は「企業家」としての存在を築き上げ、また、その企業独自の開発能力を持ち、差別化された製品や加工方法或いは販売方法を生み出している開発志向型中小企業があります。

ところで、開発志向型中小企業には次のようなタイプがあります。
1.開発補完型
   大企業メーカーに設計図を提案する、場合によっては仕様を提案する提案型企業
2.専門加工型
   独創的な加工方法を開発するオンリーワン企業
3.製品・サービス開発型
   大量生産ではなくニッチな市場を満たす独創的な製品・サービスを提供する企業
4.ベンチャービジネス型
   開発活動への特化度が高く、情報集約度の極めて高い創造的な製品を生み出している企業

いいものが造れる、良きサービス提供ができたら、次にその企業の盛衰を決定するものは、市場の確保です。大企業の下の従属的に連なる垂直的なものから、中小企業同志の水平的なネットワークは中小企業の独立性を高める力となります。

特定の目的を達成するために異なる経営資源を持ち寄って構成される戦略的ネットワークには次の4種類のものが存在しています。
1.特定企業の戦略による市場開拓ネットワーク
   ある企業が他の企業や外部の専門家の力を借りて製品を開発するためにネットワークを形成するもの
2.特定企業の戦略による生産ネットワーク
   ある企業が生産機能を充実させて受注の幅を広げるため、他の企業をネットワーク化するもの
3.共同戦略による市場開拓ネットワーク
   複数企業の共同戦略として製品開発をするもの
   共同製品を共同で開発する場合とメンバー企業の製品開発のために他が協力する場合があります
4.共同戦略による生産ネットワーク
   複数企業の共同戦略として、各メンバー企業の受注幅を広げるため、メンバー相互間で生産機能を提供しあうもの

開発志向型中小企業が増加し、その中から自力で市場開拓できる「企業家的中小企業」が増加していき、中小企業が社会の中心という意識が醸成される施策を、人口増加対策と絡ませてシナジー効果を発揮させれば、躍動する豊かな日本が回帰すると考えられます。

折しもさる3月、全国385万の中小企業、中でもその9割を占める小規模事業者を対象とした「小規模企業振興基本法」(通称:小規模基本法)が閣議決定され、その法案が6月の国会で成立しました。
その法案趣旨は、小規模事業者は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在であり、経済の好循環を全国津々浦々まで届けていくためには、その活力を最大限に発揮させることが必要不可欠とあり、更に基本原則として「小規模企業の活力発揮の必要性が増大していることから、小企業者を含む小規模企業について、事業の持続的な発展を図ることを位置づける。」と規定されています。

事業の持続的発展の意としては哲学的には「事業の黒字化」と解したいと思います。多くの小企業は個人資産を食いつぶしながら奮闘してきています。その状況を大きく変える政策は待たれていたもので、有効的に実行されることを大いに期待したいと思います。

事業を持続的に発展させる、即ち、黒字化ためには、経営指針を備えることが必要不可欠です。経営指針とは、戦略としての事業計画を最低限のものとし、その前提として経営理念を指します。企業様の実態を見ると売り上げ規模が大きい企業ほど理念を備えている率は高く、それは社員のみならず経営者本人、事業の主催者の目的意識が明確になるからです。

経営理念とは、ミッション(使命)ビジョンバリュー(価値観)の3つに分けられます。
使命感を持つと人間は強くなれます。自分のすべきことと、その夢を言葉に表し、数字に書くと実現の可能性が高くなると言われています。その経営理念、事業計画の策定をコンパッソグループでお手伝いさせていただきます。お気軽にご相談下さい。

出典:黒瀬直宏嘉悦大学大学院教授の有斐閣アルマ出版「21世紀中小企業論」

社員税理士 児島昭英

 

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