フェルミ推定の活用

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 「日本全国に電柱は何本あるか?」「世界中で1日に食べられるピザは何枚か?」「琵琶湖の水は何滴あるか?
これらの質問は、コンサルティング会社や外資系企業の面接でよく用いられるものです。見当もつかないようなこれらの問題を解くカギ、
その名は「フェルミ推定」。
考えるより先に検索エンジンへと指が向かってしまう…といった症状から脱し、頭で「考える力」を鍛えるためのトレーニング方法です。

1.フェルミ推定とは?
フェルミ推定とは、冒頭で挙げたような「日本全国に電柱は何本あるか?」「世界中で1日に食べられるピザは何枚か?」「琵琶湖の水は何滴あるか?」といった、把握することが難しく、ある意味荒唐無稽とも思える数量について何らかの推定ロジックによって短時間で概数を求める方法のことをいいます。
1901年にローマで生まれた物理学者であるエンリコ・フェルミが、物理学の教授時代に教鞭を取ったシカゴ大学の講義で学生にこのような課題を与えたことから、その名をとってフェルミ推定と呼ばれております。
フェルミは、原子番号100番の元素「フェルミウム」にもその名が残されている通り、物理学の歴史において「理論」と「実験」共に素晴らしい業績を収めた人物であり、フェルミ推定により「理論」立てて考え、「実験」を行いその検証を行う、という一連の流れを繰り返すことで問題解決能力=「考える力」が高まっていくと考えられております。

2.フェルミ推定の解法
日本全国に電柱は何本あるか?
※制限時間:3分、電卓使用不可(紙と筆記用具のみ使用可能)、一切の情報の参照不可
 
これが実際のフェルミ推定の例題です。突然このような質問をされたとしても、全く情報を参照してはならないという制約の中で答えを出すのは至難の業ですが、「フェルミ推定」においては次のようなストーリーでその答えを導いていきます。

(1)アプローチ設定(仮説の設定)
大胆な仮定により、問題解決の切り口を設定する。
日本全国を、市街地と郊外(山間部も含めた市街地以外全て)に分け、単位面積当たりの本数からアプローチ 

(2)モデル分解(因数分解)
対象をモデル化して単純な要素に分解する。
市街地と郊外の各エリアの「単位面積当たりの本数」と各々の「総面積」にモデル分解

(3)計算実行
誰でもある程度の数字の推測が可能なところまで因数分解を行い、計算を実行する。
市街地の電柱配置を「50m四方に1本」、郊外を「200m四方に1本」とモデル化し、2割程度を市街地と想定する。日本国土の総面積を長方形で近似すると、大体1,500Km×200Km≒30万Km2となるので、下記の通り計算を行う。
(A)市街地の総本数=日本の総面積(30万Km2)×市街比率(0.2)×1Km2当たり本数(市街地400本)≒2,400万本
(B)郊外の総本数=日本の総面積(30万Km2)×郊外比率(0.8)×1Km2当たり本数(郊外25本)≒600万本
(C)日本全国の電柱の総本数≒(A)+(B)=3,000万本

(4)現実性検証
現実のデータが手に入る場合には、(1)~(3)までで計算した概算結果がどの程度現実に近いものかのチェックを行う。
電力会社とNTTから公表されている数字(平成17年度データ)によると、電力用(電力会社)の電柱数は約2,091万本、通信用(NTT東西)の電柱数は約1,187万本ということで、合計で約3,278万本となる。Ⅰ~Ⅲまでで計算した概算結果は3,000万本であったので、結果として妥当な推定結果だったといえる。

3.フェルミ推定と3つの思考パターン
「日本全国に電柱は何本あるか?」という問いは、限りなく存在する無数の事例の一つであり、その一つの事例においても、答えを導くためのフェルミ推定のアプローチは何通りもあります。
しかしながら、フェルミ推定の根本は大きく分けると次の3つの思考パターンに集約されます。フェルミ推定を活用し、これらの3つの思考パターンを鍛えることで、「考える力」が高まることになると考えられます。

(1)「結論から考える」仮説思考力
いまある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し、常にそれを最終目的地として強く意識して、情報の精度を上げながら検証を繰り返して仮説を修正しつつ最終結論に至る思考パターン

(2)「全体から考える」フレームワーク思考力
問題の全体を俯瞰した上で、「切り口」を選択していくつかの要素に分解し、その分解した各要素を因数分解してさらに細かい要素に分解することによって、ボトルネックを発見する思考パターン

(3)「単純に考える」抽象化思考力
対象の最大の特徴を抽出して「単純化」「モデル化」した後に抽象レベルで一般解を導き出して、それを再び具体化して個別解を導くという三ステップによる思考パターン
 
インターネット環境が急速に発展し情報の洪水化が騒がれる中で、専門家でなくても多くの情報を取得することが可能になってきています。そのような環境下で今まさに、「考える力」の真価を問われているのではないでしょうか。「考える力」を鍛えるために、ぜひ、フェルミ推定をご活用されてはいかがでしょうか。

出典:『地頭力を鍛える』細谷功 著(東洋経済新報社,2007年)

渋谷事務所 川上大輔

 

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